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己【おれ】

多くの己が生きる中で【おれ】であること、そんな中二病のような思いから始めました。

29年間ありがとぅ!下北沢のたこ焼き専門店「大阪屋」閉店レポ。4時間待ち、100人超えの大行列伝説を作る

【和食】お好み焼き・たこ焼き(その他) 【東京】京王・小田急沿線 レトロ 無駄に努力

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普通じゃ考えられない待ち時間の果てにゲットした下北沢「大阪屋」の15個入りたこ焼き。

下北沢、いや、東京で最も好きなたこ焼き専門店の「大阪屋」が2016年1月30日の営業をもって29年間の歴史に幕を下ろした。

ご主人(おっちゃん)や女将さん(おばちゃん)の体調不良だとか売上が芳しくないからとかではなく、大家変更による家賃の大幅値上げがその理由だそうで、新しい物件を探したりと継続意欲はまったく衰えていないご様子。

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お知らせ
この30日を持ちまして閉店の運びとなりました。
29年間本当にお世話になりました。有り難うございました。
お客様の暖かいお心と御理解の元ここまでやってこられました。
又、何処かで頑張れればと思っております。
その節はお客様のお力が又必要です。どうか宜しくお願い申し上げます。
本当に長い間有り難うございました。心から感謝しております。
大阪屋

こちらこそ心より感謝。ありがとぅ!(※語尾の「とぅ」が上がるおっちゃんのマネ)

再開がいつになるか分からないけれど、別に今生の別れというワケでもないし、きっとまたどこかで会えそうな気がする。
少なくともおれや長い長い大行列の一端を担った誰しもがそう信じているだろうし、つまりは、さよならだけどさよならじゃない。

しみったれたことなんて書くつもりは毛頭ない。けれどもこの場所で買える最後の「大阪屋」たこ焼きには違いない。
おれにできるわずかな力添えとして、歴史を残す、風化させないだなんて思いも込め、下北沢のとあるたこ焼き屋さんの最終営業日の模様を愛のままにわがままに綴ってみたいと思います。

開店前から行列、下北沢「大阪屋」最終営業日

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様子見がてら訪れた開店1時間前の16時半頃の「大阪屋」付近。

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すでに30名以上が待機しており、こいつはうかうかしてらんねーと行列に合流。

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先頭のお客さんは16時から並んでいたそうです。

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大雪の恐れと報じられていた2016年1月30日土曜日の東京。

結果的に雪でも雨でもなく曇り。しかも夜に向かうにつれて空から雲が消えて行ったかのようで、天候すら「大阪屋」のこれまでとこれからを祝福しているように思えました。

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行き交う電車ガタンゴトン。日夜カンカン小田急線の往来を告げた踏切跡地。

この時点で踏切跡地はまだいつもどおりの光景でしたが、開店が近づくに連れてここすらも超える大行列に発展。

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有志の提案で、行列を店前と反対側とで分断することに。

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確かにこちらの方が通行人の邪魔にならないし気兼ねなく並べるというもの。それにしてもスゴイ。

16時45分頃、おっちゃん&おばちゃんがお店に到着。15分前倒しで17時15分頃開店

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たこ焼きを待つお客さんと撮影する集団。ドラマのロケみたい。

仕込みや営業開始の最終調整に入るおっちゃんと、上がったシャッターにカメラのシャッターを切る多数のお客さん。並んで食べてやるって意思が感じられる方々はもちろんのこと、諸事情により並ぶことができずその場を去らなくてはならない方々も撮影しまくり。

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営業最終日でもいつもと変わらず淡々と、でも気の利いた会話でもてなすおっちゃん。

一方のおばちゃんは開店前から形成された長蛇の列のひとりひとりに携帯カイロを配り歩く。
こういう細やかな気配りの積み重ねが今日の「大阪屋」を作り上げた、目の前のお客さんを大切にしていると実感。

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大小2つの携帯カイロ。何だか8個入りと15個入りのたこ焼きみたいだ。(※29日にミニサイズ、30日はレギュラーサイズを配布)

ちなみになんでカイロが2個あるかっていうと、実は前日の1月29日夜にも訪問し、滑り込みセーフと思いきや、材料切れによる早仕舞いで振られてしまった際にもおばちゃんからカイロをいただいていたので、一昨日と昨日で計2つというワケです。

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留まることを知らない大行列。

面白かったのが、29日と30日でまったく同じ位置から並び始めたことも功を奏したのか、おばちゃんからカイロを手渡される際に「あなた、昨日と同じ場所!昨日はごめんねぇ(後略)」と声をかけていただいたんですよね。

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この後もどんどん伸び続け、ついに100人を突破!

客商売をするにあたって申し分のない記憶力と思えたし、何より単純に嬉しかったし、こうなりゃ何時間だろうと並んでやる。そう決め込んだ瞬間でもありました。

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「大阪屋」真向かいのコンビニは閉店。

なお、使えばいいカイロは使わずに2個とも取ってあります。使ったら本当に終わっちゃいそうな気がするし、おれは再開を信じているから、再開の暁には盛大に使ってやろうと思うんです。それがたとえ真夏だとしても、ってね。

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「大阪屋」から1軒挟んだとなりのコインパーキングは満車。

この日ばかりはきっと「大阪屋」ラストを求めて遠くからやってきたんだって思い込む。
わざわざお店前の狭い通りを抜けてきたのに満車と知ってぐるりとUターンで引き返す車を何台も見かけました。

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かつて「たこ焼き専門店」と掲げられたテントもいつからかほぼワイヤーだけの状態に。

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並び始めて実に4時間。いつもならそんな待たずに拝める赤提灯が妙に愛おしかった。

赤提灯の手前くらいになると意識せずとも感じ取れる香ばしいソースの香り。
「ソースの味って男のコだよな」って冗談なのか本気なのかちょっと分からないコメントももう言えなくなるのか、この場所で。

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阿吽の呼吸、熟練の業。

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「(おっちゃん&おばちゃんの)写真撮ってもいいですか?」の呼びかけに、サムズアップを決めるおばちゃんとシャイな笑顔でスローテンポにしてくれたおっちゃん。ありがとぅ!

寒空の下4時間待ちの大行列。その果てにゲットした下北沢「大阪屋」の15個入りたこ焼き550円

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かじかむ手でブレ気味な写真となってしまったのはご愛嬌。

踊る削り節に心も踊る。

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このたこ焼きともしばらくお別れ。深い意味もなく空撮的アングル。

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この角に盛られたマヨネーズの上にもちょこんとソース。これぞ「大阪屋」スタイル。

店名に大阪と冠しているのに、かつて「ウチのたこ焼きは大阪じゃ食べられない」とさり気なく語った大阪出身のおっちゃん。日本三大やきそばの1つに数えられる「横手やきそば」でおなじみの秋田県横手市出身のおばちゃん。異なる粉もん文化を経た2人の組み合わせが「大阪屋」たこ焼きの根底に根付いているのかも。

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初めはマヨネーズをつけずにそのままパクリ。

ただでさえ、寒い中で温かいもん食べたらおいしいに決まっているのに、できたてホヤホヤアツアツのたこ焼き。しかもおっちゃん&おばちゃんとの楽しいトーク付きともなれば旨さも倍増、倍増なんてレベルじゃ足りないな、100倍増ってヤツですよ!(※単に増やせばいいって問題じゃない)

前日振られたことが「ゼッタイ食べたい!」の原動力になったワケだけど、手渡された容器の底から手に伝わる温もり。可視化できない2人の愛情だってたっぷりだ。

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たかがたこ焼き、されどたこ焼き。

道行く人の大半にとってはたこ焼きなんてただのジャンクフードかもしれないけれど、「大阪屋」のたこ焼きを前にすると、おれにはたかがたこ焼きだなんて到底言えない。
おれ以外の常連さんも同じだろうし、ここのたこ焼きを食べて育った方々からしたら青春どころか人生そのものと言っても過言じゃないハズ。されどたこ焼き、そんなたこ焼きがあったっていいじゃないか。

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雨が降らなかったのは、きっと大粒の涙をこぼしながら食べてもいいんだよってサインだったのかもしれない。

まあ撮影しながらの食事だったので、涙じゃなくたこ焼きそのものをこぼしそうになり、思わず「ウホッ」って漫画みたいなリアクションしちゃったんですけどね。

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完食!今回は汚くってもモザイク処理なんてなし!

15個入りと称しつつ毎回サービスで16個入りにしていただいたのだけど、今日はたぶん17個以上あったと思う。本当にありがとぅ!

ファンの1人として再開を心待ちにしています

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近いうちにまた会えると信じているから、去り際の「また来ます」宣言にニコッと笑ってくれたおっちゃん&おばちゃんへ。29年間お疲れ様でした!

営業終了時刻の23時を過ぎ、日付変わる深夜になってもおいしいたこ焼きを提供し続けたそうで。シンデレラの魔法は解けたけど、「大阪屋」の魔法はまだまだ解けそうにありません。

移転先が下北沢じゃなくっても、下北沢なら嬉しいけれど、どこに移転しようとゼッタイ行ってやります、30年目の「大阪屋」。

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井の頭線の踏切カンカンに、「大阪屋」と出逢った当時を重ねて。

実際に並ばれた方、途中で泣く泣く断念された方、閉店したことや「大阪屋」そのものを知らない方など、みーんなひっくるめていつかこの日を振り返れるように。きっとまたどこかで味わえる「大阪屋」のたこ焼きを信じて。この記事を営業最終日翌日の2016年1月31日、営業開始時刻の17時半に公開します。「大阪屋」よ、永遠なれ!