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己【おれ】

多くの「己」が生きる中で「おれ」であること、そんな中二病のような思いから始めました。

沖縄に行ったら必ず寄る山羊料理屋「さかえ」で過ごす至福のひと時。単に山羊肉を喰らいたいんじゃない、ハートフルな接客と雰囲気にココロ癒やされたいのさ

【和食】郷土料理 【肉】その他肉料理 居酒屋 【沖縄】那覇市 レトロ

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新鮮な山羊肉を生のまま存分に堪能できる那覇市「さかえ」の山羊刺身。

沖縄では山羊を食べる習慣がある。
山羊は栄養価が高く滋養強壮作用も抜群だとかで、何かしらのお祝い事があったりすると出てくるシロモノだそうで、要するに縁起物。それならせっかくの沖縄旅行で口にしたい。そう考える方も少なくないでしょう。

そこで今回は、おれの山羊料理初体験、山羊料理筆下ろしの役を担ってくれた那覇市・国際通り近くの山羊料理屋「さかえ」をご紹介。
山羊なんて食べたことがないけど興味津々な方にはもちろんおすすめですが、単に山羊肉を食べる以上に価値があると思うハートフルな接客とこの店ならではのアットホームな空間なんかについてもコッテリお届けしたいと思います。

すべての初まりは、電話越しの「バイバイ」

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夜の国際通り沿いから電話したあの頃も、今はもう良い思い出。

初めて「さかえ」に足を運んだ際、当時からすでに老舗であり有名店だったから、事前に席が空いているかとか確認したくってお店に電話したんですね。
で、その時に対応してくれた2代目店主のネーネー(沖縄の方言で「おねーさん」の意)とのやり取りを思い返すとこんな感じ。

  • ネーネー「アブラ使ってまーす!用件はー!?」
  • おれ「えっ!?(あれ、間違え電話しちゃったかな。。まあでも…)今から1人なんですけど空いてますか?」
  • ネーネー「予約受け付けてないからグルグル回ってきてー!!」
  • おれ「(グルグルってなんだ?沖縄の方言か??)ああ、はい。。」
  • ネーネー「今なら空いてるよ!バイバーイ!!!(ガチャ)」

もう店名すら名乗らずいきなりのアブラ使用宣言から終始リードしつつのバイバイ&ガチャ切り、これですよ。

平日20時頃、まあ飲食店にとってピークタイムだから忙しいのはよーく分かる。分かるんだけど、女性とはいえハスキーがかった大声でやられると結構なインパクトありまくりの電話応対。
こんな対応をされたら、その時点でダメな人はもうダメなんでしょうけど、不思議と物言いに嫌味だとかトゲトゲしさは感じられず、何より会ったこともろくに話したことすらない人間との会話の締めくくりがバイバイですからね。それなんてカジュアル?って軽いカルチャーショックを受けたんですけど、変なハナシ、それ以上にキュンとなっちゃったんですよね。ヤヴァイ店に出逢っちゃったぞと。もうね、耳からスマートフォン離した時、武者震いしている自分に気づきましたもんね。

これはいっちょ乗り込んで確認してやろうと。この目が黒いうちに実態を確認しなければなるまいと。

で、勇んで行った結果がどうだったかっていうと、まあこんな記事を書き上げるくらいにどハマりしてしまいましたと、こういうワケでございます。

平日でも大人気、2名以上から予約可能な山羊料理専門店「さかえ」

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沖縄随一の繁華街・那覇市の国際通り。

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観光客でごった返す大通りを1本入ったところにある竜宮通り社交街を直進。

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30mほど進みますと左手にある古い木造家屋が「さかえ」。

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1971年(昭和46年)創業。今年で開店45年、50周年も間近な山羊料理「さかえ」

開き戸左上に貼られたガムテープの「ドア押す」とか、全体的に味わい深い趣き。きっと創業時から建て替えられていないんでしょうね。

看板に「牛さし」「牛ホルモン」の文字が目につきますが、提供していたのは2011年の集団食中毒事件が起きる前ぐらいまでで、現在は名物の山羊料理とゴーヤチャンプルーなんかの一品料理に飲み物のメニュー構成。

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入口左手にカウンター7席前後、正面に2~3名掛けの丸テーブル2卓、右奥などに個室席が3つ。

冒頭に紹介したネーネーとのやり取りでは予約受け付けていないとのことでしたが、詳しく聞いてみると以下のとおりでした。

  • 予約は2名以上から可能(1名での予約は不可)
  • カウンター席の予約は不可
  • オープンしてすぐの山羊料理提供は難しいので、できれば16時半頃の来店がおすすめ(遅い時間帯だと山羊料理が売切れの場合あり)

で、「さかえ」の真骨頂は単に山羊肉に舌鼓を打つことではなく、カウンター席に座ってネーネーや他のお客さんとかと世間話に花を咲かせることだと思っておりますので、どうしてもカウンター席に座りたい場合は開店早々の15時くらいを狙って訪問するのがベター。待っていればそのうち山羊料理も食べられますしね。

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壁に貼られたメニューから食べたいもの、飲みたいものを決めます。

大半のお客さんは山羊料理目当てでの訪問かと思いますので、山羊料理の料金のみ文字起こししておきますので参考までに。

商品名 価格 備考
山羊汁 1,500円 強火でコトコト煮込んだ山羊白湯
山羊いため 1,500円 酒肴、ゴハンのおかず、どちらにもバッチリ
山羊さしみ 1,300円 臭み極小、新鮮な山羊肉を生で
山羊玉ちゃん 1,200円 超希少、月に1~2回ほどの入荷。オトコにとって大事な部分

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沖縄で乾杯と言ったらオリオンビールでしょう、ということで中瓶(600円)。

オリオンビールに関しては名護市にある「オリオンハッピーパーク」で工場見学&できたて新鮮生ビールが2杯も無料で楽しめますし、遊びに行けば少なからず親近感がグビビと増すでしょうし、一層オリオンビールが美味しく感じられること請け合い。「さかえ」同様におすすめです。

参考


それだけで満腹になってしまうかもしれない那覇市「さかえ」のサービス精神旺盛なおもてなし

まずはこちらをご覧ください。

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島らっきょうの塩漬け。

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塩もみしたからし菜。

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サッパリとした味付けの生野菜サラダ。

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塩もみしたモーイ(赤瓜)にツナと酢醤油を絡めた漬け物。

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味噌で味付けした豚バラ肉。

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豚バラ肉があるならソーキもどうよということでそのソーキ版。

はい、そんなワケでいずれもメニューにない料理なんですが、これらすべてが無料という大盤振る舞い。メニューにないから時価ではなく無料。わざわざ来てくれたお客さん達への感謝の気持ちで、その場にいる全員に対してその時ならではの料理を奉仕してくれるって寸法です。

実に太っ腹。そしてこれらの料理をつまみつつ山羊料理も喰らいまくったらリアル太っ腹も夢じゃないでしょうね。

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あまりに忙しい時はヘルプスタッフも登場しますが、基本的にワンオペ。

それでいてお店は大抵満員御礼だから手が回らないことも多々あり、料理やドリンクがなかなかやって来ないなんて日常茶飯事だし「誰かが何かの料理を頼んだらそれに乗っかる形で注文すると比較的早くやって来る可能性が高い(まとめて作るから)」が暗黙のルールと化す珍事態に陥っていたり。

当然ピークタイムにだって平気で電話はかかってくるし、ネーネーが電話に出られない時はお客さんが代理で受けたり(何だかんだで最終的にネーネーに代わるパターン多し)、まあ店舗経営の観点から見ればダメダメの沼に片足、いや両足くらいはズブリと突っ込んでいるのは間違いないでしょう。

繁盛しているんだから単純に人手を増やせば解決するだろうことは素人目でも明らかなんですが、「さかえ」に関してはアクターズスクール1期生のネーネーがダミ声上げながら店内を縦横無尽に動き回り、時にお客さんが全力でネーネーをサポートするってスタイルが心地良いんですよね。もうその場にいる全員で目の前で巻き起こるイベントを楽しむといった具合の、一種のライブみたいな。

まあそういうのって決して万人受けするとは思いませんし、「お客様は神様です」志向の方、気の短い方には確実に不向きなんだけど、ハマる人はドンピシャって具合にハマってしまいますよと。少なくともおれがそうですよと。

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ふとしたタイミングで登場するネーネーのお母さん(初代店主)。手前の肉塊は山羊刺になる前の生肉。

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颯爽と現れ、まるでファイナルファンタジーの竜騎士がジャンプを決めるがごとく、サササとソーメンチャンプルーやら何やらを手際よく仕上げて再び奥に引っ込んだりするお母さん。ボーナスキャラクターみたいな存在感。

ネーネーも予想できない、お母さんにまで気が回らない時に突然現れたりするもんだからネーネーも「勝手なことしないでぇー!」だとか「何やってるのよぉー!」と文句をぶつけ、お母さんもお母さんで勝気な性格だからそんな言葉に屈することなく言い返しつつマイペースに作業をこなすという、一言でカオス、二言以上でカオスだけど面白い、台本のないアドリブコントを観ているかのような気分にいつも浸るのです。

「いいのよ、入ってもらって」とニッコリ。
「お母さんだめよ、準備がまだできてないでしょ!」

お母さんのウェルカム態勢と、それを制するねーねーのやりとりが2〜3往復し、最終的にはねーねーが力ずくでお母さんを店内に引き込んだのだった。

「ごめんね!すぐ準備するからね!」

申し訳なさそうな声を私たちに残し、ねーねーがお店に入り戸が再び閉められた途端、母娘ゲンカと思しき声が聞こえてきた。
平日、15時、絶好のお天気に恵まれた静かな商店街に響く口喧嘩の声・・・
の、のどかだなあ。

ネーネーとお母さんのおもしろエピソードについては枚挙に暇がなく、例えば上記やままさんの体験談をはじめ、ネットにゴロリンコしておりますので興味のある方はググってみてください。ホント人によっては1mmも受け入れられないんでしょうけど、おれに至ってはもう見聞きするだけでニヤニヤが止まらなくなりますし「ネーネーもお母さんも元気そうで何より」ってある種の生存確認もしちゃっている節ありといったところです。アヴナイですね。

彼女らからすればお客さん達をより良くもてなしたいがための真剣勝負なのは言うまでもありません。が、それならスタッフ増員して料理やドリンクをしかるべきタイミングで提供すれば良いのにって気がするのはここだけのハナシです。

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モーイ漬けをポリポリしていたら、沖縄で定番のおつまみ・アンダーカス(油かす)もサービスで乗っけてもらいました。

那覇市「さかえ」でいただく山羊料理の数々

目の前でさばく様子も拝める新鮮な山羊の刺身(1,300円)

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赤身肉・モモ肉・皮の3種盛り合わせ。

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需要に対して供給が追いつかない山羊肉だから、輸入物や冷凍に頼る飲食店が少なくない中、「さかえ」では県産山羊肉にこだわり、生の状態でさばいて提供します。だから新鮮そのもの。

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ムキッ!

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メキッ!

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モキッ!

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で、完成です!

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こんな風に箸でつまんで生姜醤油でいただきます。

臭みが強いと言われる山羊肉だけど、薬味をつけて頬張るとそのクセすらも旨味に加担しますし、鶏・豚・牛にないコリコリッとした歯ごたえ。そう、この噛んでも噛んでも噛み切れなさそうな感じが臭みを必要以上に感じさせてしまう。しまうんでしょうが、「さかえ」の山羊刺にはそんな嫌味がほっとんどない。実に食べやすいし独特の食感と味わいは想像以上にクセになりますね。

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刻みニンニクをクルンと巻くように平らげても良いですね。

自分の山羊料理デビューは「さかえ」の山羊刺で、前情報で沖縄の方から「ヒドイ店は本当にヒドイ」と聞いていただけに、もしも「さかえ」のそれがダメダメだったらどうしようと考えたこともあったんですが、今となっては「さかえ」の山羊刺身は初心者にもってこいと断言できます。
ジンギスカンが普通に食べられるならまず問題ないかと思いますし、3種類の部位を食べ比べる楽しさもあるので結構とっつきやすいハズです。

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辛口ソーセージ(500円)で山羊肉とは異なる獣肉を感じ取ってみるも良し。

商売っ気がそこまでないのか、この辛口ソーセージに至っては「近くのりうぼう(沖縄のスーパーマーケット)で買えるからお土産におすすめよぉー」と開けっ広けにしちゃったりと、ネーネーの独り言に近い陽気なマシンガントークは留まるところを知りません。

ちなみに沖縄ホーメル社のポルトギースソーセージのことで、

今でもこの味が食べたくなったら通販したり何なりで入手しています。

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泡盛に切り替え。

「さかえ」では泡盛にすると、グラス棚から選んだお好みのグラスに注いでくれるのも嬉しいですね。涼し気なブルーグラスをチョイス。

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からし菜チャンプルー(600円)を泡盛で潤った舌先に乗せたり、

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ホッとする優しさのゆし豆腐(豆乳ににがりを加えただけの固める前の豆腐)を嗜んだり。

続いてオーダーした山羊汁は当日分の骨付き肉が届いてから煮込み始めるため、提供までかなりの時間を要します。
だから前述のサービス料理だとかお酒をいただいたりしつつ、見ず知らずのお客さん達と「どこから来たの?」「いつまでいるの?」といった会話から始めて、お店を後にする頃には「また今度!」といった具合に仲良くなる。自然と客同士が打ち解け合える環境なんですよね。

強火でグツグツ煮ること数時間。野性的な旨味に満ちあふれた山羊汁(1,500円)

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一見すると豚骨スープに見えなくもないビジュアル。

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灯りをテカテカーと反射するほどに白濁した山羊白湯。

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ほんのり味噌風味の山羊汁。

野性味と塩気をネットリ感じさせるそれは、まさに野性のポタージュ。
グッツグツに煮込む分、山羊の刺身よりも臭みがあることは否めませんが、いやでもこの濃厚さ、おれは好きですよ。もうね、個人的に山羊刺より好み。

ただ、これまで「ラーメン二郎」あたりで切磋琢磨してきた賜物的感想ってヤツなので、アッサリ料理しか口にしない人生を送られてきた場合にはちと厳しいかもしれません。

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山羊のソーキ肉だとかがゴロゴロと。

沖縄では山羊のことをヒージャー(「ヒゲのある動物」ということから)と言い、栄養価が高く精をつけたい時の食べ物として珍重されてきたそうですが、ひと口含む度に元気になりそうだし、ふた口目には「ヒージャー!!」とシャウトしそうなくらいに滋味豊か。汁が残った場合はライス(100円)をぶち込んで雑炊にするのも良し。

山羊汁を作る際に用いたソーキ肉に塩を振っただけの山羊の塩骨(1,500円)

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このソーキからあの乳化した山羊スープが作られたと思うと感慨深いですね。

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同じ材料だから山羊汁との親和性は高く、汁を飲みつつむしゃぶりつくとそれはそれでたまらないもんがありますね。

山羊料理のラインナップに関してはその日によってまちまちなので、どうしてもこの料理が食べたいって時は事前確認すると教えてくれるかもしれません。

一朝一夕では真似できないハートフルな接客とこの店ならではの温かい雰囲気

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何だか卑猥な形状の氷ですが、おかげさまで元気になりました!

各料理の提供スピードは決して早いとは言えませんし、途中で出てくるサービス料理の数々とお酒で意外と腹も膨れちゃうので、自慢の山羊料理も2~3品いただければ充分かなーと。

鮮度抜群の山羊料理を楽しめるって意味でも貴重な1軒なんですが、ハマると沖縄旅行ではなく「さかえ」に行きたくて行きたくて仕方がなくなる禁断症状にかられちゃって、創業時から通い続けている地元民、県外民だけど年に何回も訪れる常連さんを多数輩出し続けているのも納得です。納得しなければこれほどの長文、書こうだなんて思いませんからね。

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帰り際にさんぴん茶なんかのおまけももらえたり。

「また来ますねバイバーイ!」ってネーネーとガッチリ握手を交わしてはや数ヶ月。そろそろ誰かのレビューを眺めるだけじゃ物足りなくなってきたので、今年もう1さかえを決められるよう、この記事したためつつぶらり「さかえ」の旅を画策中なのでした。

店舗情報

店名 山羊料理 さかえ
住所 沖縄県那覇市牧志3-12-20(地図
電話番号 098-866-6401
営業時間 15:00~23:00
定休日 日曜日(基本的に定休日だが、要電話確認)
最寄駅 牧志駅
備考 電話確認の際「バイバーイ」とガチャ切りされても気にしないこと。