古き良き自家製麺の醤油ラーメンとカレーが楽しめる新宿御苑前「そば処 更科」のCセット。
最近流行りのラーメン専門店の場合、サイドメニューにチャーシューご飯(またの名をチャーシュー丼やら肉飯など)を据えていることが多くそれはそれで美味しいんですが、だからこそカレーが、無性にカレーライスが、それも往年のカレーライスが一緒に楽しめるお店に遭遇しちゃうと、もうね、フンガッフッフと興奮しちゃうワケ!(アヴナイですね)
昭和の面影を色濃く残す「神田・栄屋ミルクホール」、ラーメンもカレーライスも破格過ぎる「北千住・りんりん」、老舗洋食店でまさかの立ち食いができちゃう「日本橋・たいめいけんらーめんコーナー」、塩ラーメンと本格カレーを交互に食べ進めるスタイルの「蒲田・インディアン」……
これまで一風変わったラーメン&カレーライスを紹介して参りましたが、今回取り上げるのは、ズバリお蕎麦屋さんのラーメン&カレーセット!新宿御苑すぐの老舗日本蕎麦屋「そば処 更科」でございます。
1936年(昭和11年)創業。終戦直後から変わらぬ製法を守り続ける老舗「そば処 更科」
教えてもらわなきゃここでラーメンが食べられるだなんて思いもしない、ガチでお蕎麦屋さんな外観。
最寄駅は東京メトロ丸ノ内線・新宿御苑前駅で、お店は2番出口を出て徒歩3分の場所にあり、散歩がてら新宿三丁目駅ないし新宿駅からも歩いて向かうことができます。
出前用のオートバイも当たり前のように駐車。
蕎麦せいろだって当たり前のように鎮座。
常連さんを中心に蕎麦メニューが評判なのは言わずもがな、しかしこの店、さり気なくメニューに記載されているラーメンもまた好評で、個性的なラーメン店としても名高い「四谷三丁目・一条流がんこラーメン総本家」の家元こと一条安雪氏にその存在を教えていただいたのでした。
蕎麦に負けず劣らず有名なラーメンなど、豊富なメニューでお出迎え
4名掛けテーブルメイン、BGMはテレビ。まったり落ち着く空間。
ラーメン屋さんに見えなくもないけれど、蕎麦と日本酒を決めるおじいちゃんが談笑していて、やっぱりお蕎麦屋さんなのねと実感。
定番のカスターセットと卓上調味料。灰皿もデフォルトで完備。
新宿御苑前「そば処 更科」のメニュー(PCはクリックで拡大、スマートフォンはピンチアウトで拡大できます)
表面。いわゆるひとつのお蕎麦屋さんって感じのメニュー構成。
今回紹介するのは下段左のB・CセットのC、中華ミニカレーライスでして、ちなみにA・B各セットは、もりミニカレーライス・たぬきミニカレーライスと相成ります。
裏面。中華ものと称して各種ラーメンメニューも取り扱い。
冷むぎ、冷やし中華に加えて冷チャーシューメンもラインナップされており、それはそれで地味に心くすぐるもんがありますね。
全メニューの価格も税込(総額)表示だから会計時も手間取る心配ナッシング。後会計制の現金払いを採用。
壁面に貼り出されるメニューも安心の総額表記。
単純にカウントして60種類以上と多種多様なメニュー数は、酒とつまみである程度お腹を満たしてから〆に蕎麦といった風に、蕎麦屋本来の姿とも言うべき居酒屋的な利用にもバッチリ対応。
豚骨・鶏ガラ・ネギのみでダシを取った醤油スープに自家製麺の実直な組み合わせ。新宿御苑前「そば処 更科」のCセット(中華ミニカレーライス)
どでんとご到着。
黒いレンゲのすぐ下に紙ナプキンで巻かれたシルバースプーン。これもこれでまた妙なる組み合わせ。
こういうのでいいんだよな醤油ラーメン。
蕎麦屋からラーメン屋に転身して大成功を収め、日本ラーメン界の名店として君臨する老舗の多くがタレやダシに蕎麦の技法を取り入れたり魚介系素材を使ったりするのに対し、ここ「更科」の場合はシンプルに豚骨・鶏ガラ・ネギだけでダシを取ります。
チャーシュー・メンマ・刻みネギに青菜。極めつけとも言うべき赤巻三龍の丼。
日本蕎麦の要素が1mmも感じられませんが、それもそのハズ。かつて初代店主が知り合いの中華料理屋さんからレシピを教わったのが始まりで、終戦から70年以上たった今もなお当時の製法を守り抜くことで作られる1杯が「更科」のラーメンなのです。
お蕎麦屋さんのラーメンってなると、ついカツオ節がビシッと効いた醤油味を想像しちゃいがちですが、「更科」のそれは中華テイスト。
でも、お蕎麦屋さんでズビズビ啜るとかけそばを食べているかのような気にもなって、それはそれで何とも不思議な感覚。
気持ち縮れた中太麺は、蕎麦屋の自家製ならではの打ち立てってヤツでしょうか。チュルリとみずみずしい食感はいくらでも啜り上げたくなりますし、そんな麺が啜り上がる様はさながら丼縁の龍が昇龍していると言ってしまうのは過言ですがまあ言わせてよ、かのよう。
だからトッピングのやや太く切られたネギや気持ち多めな青菜のシャキシャキ感が立っているように思えましたし、意外と厚めにカットされたチャーシューもラッキーってたやすく受け入れちゃいました。
オーソドックスなセットのミニカレー。
肩肘張らずにモグモグゴンボと食べ進められる安心感。
ラーメンは魚介系不使用だけど、こっちにはきっとカエシを使っているハズな、お蕎麦屋さんのカレーといった仕上がり。
年配客や女性客は蕎麦や丼ものを中心としたチョイスでしたが、男性客の大半は自分含めて蕎麦よりも中華、それもラーメン、そしてこのCセットを頼んでいて、蕎麦よりもラーメンが有名という定説を目の当たりにした次第です。
完食!(汚いのでぼかし処理済み)
スープ量控えめ、単に中華そばではなく中華蕎麦と銘打った、全体的にコンパクトな印象のラーメンをよく見かけるようになりましたが、老舗蕎麦屋「更科」のそれは、中華蕎麦だなんて洒落っ気づいた物とは縁遠い、「これぞ昔ながらのラーメンです」ってさり気なく主張しているかのようで……一般的な中華丼よりもひと回り大きいサイズの丼に、これまたスープが並々と注がれているのも頼もしく感じられて、何だかそれがたまらなく嬉しかった。
土日祝日休みになってからはつい足が遠のいちゃってますが、今後もどこかしらのタイミングでフラッと気軽に訪れたい、そんな町の老舗です。
店舗情報
店名 | そば処 更科 |
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住所 | 東京都新宿区新宿1-30-5(地図) |
電話番号 | 03-3351-2951 |
営業時間 | 11:30~15:00、17:30~20:30(L.O.) |
定休日 | 土曜日・日曜日・祝日 |
最寄駅 | 新宿御苑前駅、新宿三丁目駅、新宿駅 |