- 2017/05/15:更新
- 2013/11/22:初公開
少なくとも、おれは一瞬言葉を失いました。
今から70年以上も昔、1945年(昭和20年)終戦の年に誕生したラーメン屋さんと言えば「目黒・田丸」などの老舗が挙げられますが、創業以来同じ場所に留まり続け、戦後の面影を色濃く残すのが今回お届けする神田の「栄屋ミルクホール」でございます。
東京のほぼど真ん中に位置するのに、今も昭和の歴史を形として残す圧倒的レトロクラシカルな外観の「栄屋ミルクホール」
最寄駅は東京メトロ丸ノ内線・淡路町駅。駅周辺はご覧のように多くの企業が軒を連ねるビジネス街。
それでも駅を出て南東に数分ほど歩くと冒頭でお見せしたお店に到着しますのよと。
で、この写真は2013年撮影のもの。
4年経った2017年4月撮影の写真がコレですが、間違い探しかってレベルでほとんどお変わりなく。
この手のお店に限っては、もはや5年とか10年で今更どう変わるといった感じなのでしょう。
正面左隣りのビルもそれなりの築年数っぽいですが、「栄屋ミルクホール」の建物自体が相当古いため新しく見えちゃう不思議。
だから暖簾の真新しさが際立って粋とすら感じられる仕様。
「1932年竣工の銀座・奥野ビル」とは微妙に異なる、それでもカオスな気配をただただ静かに放っております。
昔の写真風にしてみても違和感無し!(そりゃ昔の建物だからね)
ミルクホールとはその名の通りミルクを提供することが目的の飲食店で、日本人の体質改善を促すのに「ミルク飲みなさい」を推奨していた明治時代に誕生し、大正、昭和と流行したそうです。
店内だって負けず劣らずクラシカル
専門家じゃなくともどう見たって古いと分かる引き戸。外から差し込む光が味わい深い。
中に入ると平成から昭和にタイムスリップした気になりますが、今ではミルクホール時代に人気だったミルクや甘味メニューは無くなり、ラーメンやカレーといった主食類に落ち着いたご様子。
神田「栄屋ミルクホール」メニュー一覧(2017年4月時点)
商品名 | 価格 |
---|---|
ラーメン | 620円 |
ラーメン(大) | 720円 |
チャーシューメン | 930円 |
支那筍メン | 730円 |
カレーラーメン | 730円 |
タンメン | 780円 |
タンメン(支那筍入) | 880円 |
ラーメン&カレーセット | 950円 |
冷し中華(夏期限定) | 950円 |
ピリ辛ラーメン | 700円 |
ピリ辛タンメン | 860円 |
カレーライス | 650円 |
ライス | 200円 |
ライス(小) | 100円 |
おにぎり(シャケ) | 120円 |
メニューに関する補足
- 各大盛は100円増
- メンマの表記を昔ながらの支那筍(シナチク)としていて、支那筍メンとはメンマラーメンのこと
- 遅い時間帯だとライス切れのためラーメン&カレーセットやカレーライスなどのご飯物が注文できない可能性あり(入店はお早めに)
カウンター席無し、4名掛けテーブル6卓の計24席。
胡椒の数が他の倍(2本)の卓上調味料類。
「ウチのラーメンには胡椒が合うよ」ってことかと思いつつ、単に4名掛けテーブルだから2つ置いてあるってだけかもしれません。
夏場に訪れるとこのカスターセットと壁の間にうちわが挟まっていてそれもまた風流。
カレーライスを注文するとやって来るスプーンと紙ナプキン。
「日本橋・たいめいけん」や「早稲田・メルシー」とは異なる、「蒲田・インディアン」のように紙ナプキンの上にスプーンを直接置くスタイルから、かつてのミルクホールな雰囲気を垣間見た気がします。
シンプルなだけに飽きの来ない神田「栄屋ミルクホール」のラーメン&カレーセット。こういうのでいいんだよ、こういうので…
作り手でもないのになぜかドヤ顔を決め込みたくなります。
まさにアッサリテイストな醤油ラーメン。
具はチャーシュー、メンマ、青菜にネギ。
鶏ガラ、ニンニク、野菜を濁らせないようコトコト煮込んだ醤油味のスープ。
この手の味付けにはストレートの細麺が実にマッチ。
ズビビンズビビンズヴィヴィヴィヴィン!
鶏ガラ醤油味と呼ぶにふさわしいノスタルジック満点の1杯は、気持ち固めに茹でられた軽快な歯応えのストレート細麺がマッチ。
縁が香ばしいチャーシューに刻みネギといい、これぞ不変的に愛されるといった味わいで、青菜の茎部分のシャクシャクって食感がなつかしくもみずみずしい。
学生時代の給食を思い出すカレーライス。
まるで小学校の土曜日に家で食べるお昼のような…。
カンタンに言えば「孤独のグルメ」風カレーとでも言いましょうか、真っ赤な福神漬がルーとの絶妙なコントラストを生み出しているかのようです。
食事にムードは大事って言うけれど、
そうか、この何物にも代え難い昭和レトロがビシバシ漂う空間でいただくからこそ一層おいしく感じられるんだろうな。
こればっかりはどんなにお金や手間暇かけても真似できない、時間の経過と言うスパイスがビシバシビシバシビシバシステムと効きまくった証なんでしょうね。
ラーメンをスープ代わりに食べ進め、
昭和を完食!(汚いのでぼかし処理済み)
お店を出れば、ガラリと平成。
頻繁に訪れると言うよりは、個人的に時代の節目節目で足を運んだ方がありがたみも感じられて良いのかな?って気がしないでもないですが、これからも末永く続いて行って欲しいと切に願う次第です。
店舗情報
店名 | 栄屋ミルクホール |
---|---|
住所 | 東京都千代田区神田多町2-11-7(地図) |
電話番号 | 03-3252-1068 |
営業時間 | 10:30~17:00 |
定休日 | 土曜日・日曜日・祝日 |
最寄駅 | 淡路町駅、小川町駅、神田駅 |