- 2017/01/09:更新
- 2013/05/12:初公開
「温かいごはんに味噌汁に焼き魚。そこに煮物だとかの小鉢なんかがあると尚嬉しい!」
食堂って言葉からはつい定食が食べられる場所を連想される方、おれを含めて実に多いとは思いますが、今回紹介する秋葉原の「青島食堂」は、新潟県長岡市を発祥とするれっきとしたラーメン専門店。食堂と銘打っているのにメニューはラーメンに関する物のみ。一体どんなお店なんでしょうか?とくとご覧あれ。
店構えからして既に硬派
秋葉原=娯楽なネオンで光り輝く華やかな街。
なんだけど、青島食堂の外観はこちら。
うん、食堂はもちろんのこと、ラーメン屋にすら見えません。
出入口じゃない方の壁などに看板こそありますが、
やっぱりぱっと見、ラーメン屋には思えません。
しかも秋葉原駅から若干歩くこと、周りに目印となるようなお店なり何なりがないことから集客に問題があるんじゃないかと心配してしまった過去もありますが、今ではこの店の味と雰囲気を求めて、時に人は行列を耐え忍んででも足を運ぶんだから驚きです。
ある日曜の昼下がり、1時間待ちの行列に並んだこともありました。
店内もやっぱり硬派
L字型カウンター9席のみ。まるで求道者のように黙々と食べ進めるお客さん達。
かつての荻窪・恵比寿界隈で名を馳せた実力店特有の空気とでも言うんでしょうか。最近流行りのラーメン店でもそうお目にかかれないくらいに、作り手も食べ手も無駄口を叩くことなく、ズビズバシュビドゥバって目の前の1杯を平らげることに集中しています。
この「青島食堂 秋葉原店」は2009年7月オープンとラーメン業界では中堅クラスではあるものの、本場長岡では50年以上の歴史を誇り「新潟五大ラーメン*1」の一角を担うほどの老舗。そのせいなのか、貫禄とやらがビシバシステム感じられます。
かなり先の休業日告知や本場長岡の移転情報を掲載。
店頭やら店内に貼り出されている価格表。
円以下小数点レベルまで計算しているところや、注文を受ける際の従業員間でのキチッとしたメニュー連呼に真面目でストイックな一面が伺えます。
でも、入口右手設置の券売機は新しく見やすい。こういうギャップも何か好き。
何から何までかたくなかと言えばそういったこともなく、例えばこの最新式券売機に代表されるように、便利と思えるものは積極的に取り入れたりする姿勢、フットワークの軽さなんかは見習いたいところでもあります。
基本メニューはラーメンのみ。青島ラーメン&青島チャーシュー2種類と各大盛、追加チャーシューにのりやホウレン草にメンマに薬味の刻みねぎ。一応ビールも用意されておりますが、ごはんものや餃子といったサイドメニューは一切なし。うん、硬派や。
満席時には店内壁側の待合席(お店的には「ベンチ」と呼称)に腰掛ける、その席もあふれる場合は店外に並ぶんですが、あらかじめ食券を見せる機会に恵まれているので、カウンター席に着席してもそう待たされることなくありつけるのが嬉しいですね。
こういうのでいいんだよ、こういうので。秋葉原「青島食堂」のオーソドックスな見た目の生姜醤油ラーメン
チャーシュー、メンマ、ほうれん草、のり、刻みねぎ、そしててっぺんにナルト。
「これぞラーメン!」って言わんとばかりの見た目に涙する世代も多いんじゃないでしょうか。(おれは涙じゃなくヨダレが出た)
プリプリ食感の自家製中太麺に生姜がきいた濃い目の醤油スープ。
今ではめっきり見ることも少なくなった平ザルでの見事な湯切り、もう何から何までっ…!こういうのでいいんだよ、こういうので。(ドヤァ)
流行りのラーメンもそれはそれで旨いもんだけど、時たま無性にこだわりや能書きなんてどうでもいい、食いたいように食わせろって自分がひょっこり顔を出すワケで、そんな要望に見事に応えてくれる一杯が都心で味わえる、それも繁盛しているってのは考えただけでも清々しい気分になりますね。
ただでさえトッピングの肉は多め。さらにチャーシューを増やしてみると…
850円の青島チャーシュー。頼もしい。
900円の青島チャーシュー大盛。器が変わり、麺も250gにアップしてより頼もしい。
850円の青島チャーシューに、自家製チャーシュー150円分(100円と50円の食券を1枚ずつ購入)追加した、いわゆるダブルチャーシュー麺級の1杯。頼もし過ぎ。
メンマやほうれん草などの上にどどんと肉盛り付け。
まあ普通の青島ラーメンだと「やれ美味しそうに…」って気持ちが働くんでしょうけどね、この場合は「とことん喰らいやがれ!」って感覚で盛り付けているに違いありません。
mm単位でカットされているものの、まとめてつかむと大層な肉量と分かります。
「ラーメン二郎」や「ほりうち」のように、チャーシューに一家言持っているラーメン専門店じゃないとそうお目にかかれないほどボリューミー。10枚以上は余裕である肉の量は昔ながらとはかけ離れておりますが、細かいことを考えず味わえるこの感じ、いやはや大切にしたい1杯です。
ほじくり出すように中太麺。まるで麺を召喚しているかのよう。
従来よりスープに豚のアブラが溶け生姜風味もまろやかになりますが、そういうのも感じ感じ。
こういった頼み方をするお客さんも少なくないのか、店員さんもアッサリ受け入れ提供してくれるので、肉が食いたいと思ったらまず真っ先にステーキだとかの肉塊を思い浮かべるその心をかなぐり捨て、「青島食堂」の追いチャーシュー麺にすがってみるのも悪くはないんじゃないでしょうか。ラーメンのチャーシューは物足りないって先入観を抱いている方ほどそのギャップに大喜びかもしれません。
普段調味料類はあんまり使わないんですが、
このメニューに限っては途中からゴリゴリ黒胡椒なんかを振ってみて、大抵残すことなく完食しちゃいます。
通い始めはレンゲを使っていただいておりましたが、並盛だと片手で持つのにちょうどいいサイズということもあり、今ではレンゲを使わず丼ぶりを持って直接スープをズビビビ、麺やらチャーシューをズビンビズビンビ召し上がっております。そっちの方が「ああおれ、ラーメン食ってる!」ってより実感するんですよね。
今回は肉メインな紹介でしたが、ほうれん草を増し増しトッピングするなりして自分好みの1杯を追求するのも面白いかと思います。
不思議と昔の秋葉原を感じられるお店
食べた後の水と同じくらいに気持ちのいいアキバの夜風。
世界有数の電気街にして世界的な観光地としてもおなじみの秋葉原。そんな秋葉原がメイドだアイドルだでカジュアルに染まる前の、ちょっと排他的とすら感じてしまったあの頃のストイックさを「青島食堂」に垣間見た気がします。
かつてJR秋葉原駅前に「いすず」ってカウンターだけのラーメン屋さんがありまして、そこで扱っていたのも生姜醤油味のラーメンだったんですよね。まあ単なる偶然だろうし、お店側からしたら普通に当たり前のことをこなしているだけかもしれませんが、個人的にこういったお店が繁盛してくれることはすっごく嬉しいし、これからも時間を見つけてはちょくちょく足を運んでみたいと思う次第です。
店舗情報
店名 | 青島食堂 秋葉原店 |
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住所 | 東京都千代田区神田佐久間町3-20-1(地図) |
電話番号 | 03-5820-0037 |
営業時間 | 11:00~18:00(売切れ次第終了) |
定休日 | 火曜日 |
最寄駅 | 秋葉原駅、岩本町駅 |
*1:長岡生姜醤油ラーメン・新潟あっさりラーメン・燕三条背脂ラーメン・新潟濃厚味噌ラーメン・三条カレーラーメンの計5つ。「青島食堂」は1960年代後半に生姜醤油ラーメンを売り出し、地元長岡はおろか関東にまでその名が知れ渡るくらいに圧倒的な地位を確立した。