己【おれ】

主に東京・グルメ・漫画・旅行ネタ。己【おれ】と命名するも乙【おつ】と勘違いされることもよくある残念なブログです。

【孤独のグルメ】元祖ぶたダブり!東京都台東区山谷の大衆食堂「きぬ川」の豚肉炒めライスetc.

  • 【2014/11/09】店舗情報の営業時間更新

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豚肉がダブったことを気にする矮小な主人公・井之頭五郎。

「ぶた肉ととん汁でぶたがダブってしまった」
など、数々の名言(迷言?)でおなじみの名作漫画、孤独のグルメ。
その記念すべき第1話「東京都台東区山谷のぶた肉いためライス」で取り上げられた大衆食堂「きぬ川」に行ってきました。

原作に従い豚をダブらせるだけでなく、敬意を表してちょっとした挑戦もしてみましたので、ファンの方はもちろん、知らない方でもきっと楽しめる内容だと勝手に自負しております。

1.物件探しでたまたま立ち寄った山谷でたまたま訪れた定食屋

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この日も腹ぺこりんな彼。

タダより高いものはないとはよく言いますが、せっかくの苦労が無駄足に終わったゴローちゃん。(※主人公の愛称)
仕入れた輸入雑貨を置いておくための倉庫はダメダメだったものの、胃に置いておくのにふさわしい食べ物探しに今日も奔走気味なご様子。
で、道に迷って偶然訪れたのが山谷の地というワケです。

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雨にも打たれて踏んだり蹴ったり。

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雨宿りで入ったアーケードでは過剰な不安に苛まれ、

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ついには死にそうとカミングアウト。(過剰すぎ!)

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それでもお目当ての飲食店は見つからず、

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雨の中走って見つけたのが…

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大衆食堂「きぬ川」なのでした。

いろは会ショップメイトを出て数十メートル行ったところに店を構えるきぬ川。
孤独のグルメを知らなければ普通に通り過ぎてもおかしくはない外観ではあるものの、知ってるからこそ込み上げてくる”漫画のまんま”って感動に近い印象は他の回同様です。

2.どこの街にも1軒ありそう、ほのぼのとした佇まい

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14年前の連載時と変わらない手書きのメニュー。

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店内から臨む外の景色もきっと変わってないハズ。

基本的に壁に貼られたメニューから注文したり棚から出来合いの物を取って食べるシステム。
開店より10分ほど遅れて行ったものの、店内は結構な混みようで、早くもビールで乾杯したり備え付けのテレビを観ながら料理を待つオヤジ達がうようよと。
こじんまりとした4つのテーブル席、20人も入れば満席になるであろう決して広くはない店内、周辺にこれといった飲食店がない、古くから愛されてきたことが混雑の理由なのかな。

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とりあえず原作のとおりに注文。

漫画とは違ったメニューも注文してみようと思ったが、常連客と思しき方々はメニューにない品物を注文したりと自由気ままだったので、まあまずは原作のとおりに注文することで様子見することに。
物おじせずハッキリと頼んでみたつもりだけど、注文を受けたおばちゃんからすれば、「コイツ、あの漫画を読んでここに来やがったな」といった風に手の内がバレバレだったのは言うまでもありません。

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1人で接客全般を担当するおばちゃん、この日もがんばるがんばる。

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一方、注文を終えた主人公は持ち帰りできることにびっくり。

3.メシを待ってる間に、Wikipediaで学ぶ山谷のアレコレ

大事と思われる部分を抜粋してみると、

  1. 山谷(さんや)は、東京都台東区・荒川区にある寄せ場(日雇い労働者の滞在する場所、俗に言うドヤ街)の通称(旧地名)である。
  2. ドヤとは宿(やど)を「人が住むところではない」と自嘲的に逆さまに読んだのが始まりといわれる。日雇い労働者が多く、彼らが寝泊まりする簡易宿所の多く立ち並ぶ街は「ドヤ街」と呼ばれた。
  3. この町の簡易宿泊施設の殆どは素泊専門(食事などのサービスを提供せず、就寝できる場所のみを提供する宿の形態)である。料金はおおむね個室で1泊2000円から2500円だが、古い所では1000円台、新しい所では3000円台の価格を設定している傾向がある。
  4. 近年では夏休みを利用し都内に旅行に来る国内の若者に加え、同人誌即売会「コミックマーケット」の開催時期には国内外から来る若者が滞在費を抑えるために簡易宿泊施設を利用するケースも見られるようになっている。

といったところでしょうか。

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つまり美意識が感じられると評したのは日雇い労働者達のこと。

小粋なファッションなのかご当地ブームなのかは分かりませんけど、ホント山谷には疑問を持ちたくなるくらい帽子を被ってる人達が多かったですね。

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多いといえば、ホテルや旅館の数も半端じゃなかった。

ぐるっと街を見て回っただけなのに、あるわあるわ宿泊施設の数々。
そしてそばに止められたこれまた数多くの自転車たち。

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最初、宿泊客に有料で貸し出してるのかと思ったんですが、

お巡りさんによると、いずれも私物のチャリンコだそう。

確かに自転車、あると移動に便利ですもんね、分かるんだけど単純にスゴイな。しかもこの自転車の数だけ泊まってる人達がいるって考えると二重でスゴイな、スゴイぞ山谷。

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さて、どれが宿泊施設でしょう?

…で、これら4つは山谷を知る上で大事な豆知識って感じなんですが、強調したいのは4番です。
コミケ参加者の中には孤独のグルメをこよなく愛する方が多々見受けられまして、過去に当ブログで取り上げた「朝9時から飲めるオヤジだらけの居酒屋」「豆かん元祖の老舗」、これらが特に人気の高い巡礼地として崇められてるみたいですが、どうせならきぬ川も加えた3大聖地をお参りするのがよろしいのではないでしょうか。

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なお聖地といえば、あしたのジョーやこち亀の舞台となった泪橋もすぐそば。

4.東京都台東区山谷の大衆食堂「きぬ川」の豚肉炒めライスと豚汁

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実物を見ると、絵の精度がいかに高いか分かりますよね。

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とん汁とライスで十分?さすがにそれはないと思いきや、

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近年まれに見る盛りっぷり。

ホントだ、人によってはこの量で十分かもしれない。
それでもこの店ではこれでライスが並(130円)、豚汁に至っては小(120円)ですからね、このコストパフォーマンスの高さはちょっと他店も見習って欲しいところ。

豚肉、大根、豆腐にニンジン、そしてネギ、定番の具がこれでもかと味わえるのはもちろん、汁を少なめにしたら煮物と称して売りに出してもおかしくないボリューム。大ライスを食ってるオヤジもいたけれど、豚汁大と合わせたらスゴイことになりそうだ。

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作中では不思議と扱われたカラシをつけてみたり。

確かに従来の豚肉炒めのイメージとは大きくかけ離れてはいるものの、これはこれで良いじゃないか、どっからどう見ても憎々しいならぬ肉々しい一品。

きぬ川を訪れる前に何度も読み返したせいか、そこまで不思議に思わなかったカラシも、こうして豚肉につけて処理したり、備え付けの千切りキャベツを肉で巻いて食ったりと、あんまりどころか全く抵抗なく食事を進める自分を自ら褒めたくなったのもこの時です。これ、揚げてないとんかつと解釈すればカラシもキャベツも違和感なく処理できますよ。

…ただそれでも、豚肉炒め(400円)のぶた、豚汁のぶたと、ぶたとぶたがダブると口当たりがこってりしてしまうのも否定できませんよね。

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でもそんな時こそ!

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このナスのおしんこ(100円)でさっぱりと。

お約束の組み合わせでスーパーリフレッシュ!
…マンガほど感激するかは分かりませんけどね、気分だけでも転換しましょう。

ちなみに提供前におばちゃんが化学調味料をひと振りしますが、不必要な場合は注文時に「おしんこ、調味料抜き」とでも伝えればOKみたいです。

… … …
で、ある程度店内で過ごしたもんだから、徐々にルールやシステムを理解しました。なるほど、他の店と同じくライスをお代わりできたり追加で頼んだりもできるのかetc…ということで、迷わず追加注文したのがこちら。

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「ぶた肉ととん汁とハムエッグでぶたがトリプってしまった」

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「ぶた肉ととん汁とハムエッグと鮭(魚肉)で肉がテトラってしまった」

って言って良いのか悪いのかは知りませんが、ダブルを超えてトリプル、and more...にしてみたら面白いんじゃないかと思いまして。
まあ単純にどちらも食べたかったからなのは言うまでもないのですが、

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1人前にしてはちょっと圧巻、どこかの食卓みたいです。

後日これ書いてて思うのですが、もう悪ノリ以外の何物でもありませんよね。

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まあ全部平らげちゃったんですけど。

これだけ食べて代金は1,200円と、十分に明朗会計の範囲内ですね。
ただ山谷って地域を考慮すると決して安くはない、街の定食屋とそう変わらない価格設定かな?
あと、ご飯に対しておかずの量が多かったもんだから、食後に結構のどが渇きましたね。…まあ自業自得なのは言うまでもありませんが。

5.変則的な営業時間と不定休には要注意

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彼らと時間を共有できればある意味ラッキー。

幸運にも自分の場合は初訪問で入店、念願の食事を堪能することができました。
そんな大袈裟なって思うかもですが、そもそも変則的な営業時間と不定休が起因して、このお店でメシを食うのって結構難しかったりするみたいです。
事実、電話で確認を取ろうにも番号が分からない、豚肉炒めと豚汁は夜のみって不幸も重なり、1回、2回と棒に振られ、3回目にしてようやくご飯にありつけた方もいるようですし。

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だからこそ!

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代替え店を用意しとけばいざって時も安心だ。

そこで、自分みたいに孤独のグルメをきっかけに山谷を訪れる方にアドバイスなんですが、徒歩圏内に「第3話 東京都台東区浅草の豆かん」でおなじみの梅むらもありますから、いざって時のことも考えて、最初に梅むら、次にここって感じで探訪すると良いですよ。
どちらも味わえたら幸せそのものだけど、きぬ川がダメならせめて豆かんだけでもって発想です。
また、ちょっと電車に乗れば「第4話 東京都北区赤羽の鰻丼」のまるます家も近いので、1日で梅むら、きぬ川、まるます家とトリプル訪問できたら表彰もの!知らんけど。

とにかくこどグルなだけに、皆さんが食にありつけず孤独に苛まれないよう切に願う次第です。

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今日もいろは会には灯がともる。

6.店舗情報

店名 きぬ川
住所 東京都台東区日本堤1-40-2(地図
電話番号 非公開
営業時間 5:00~10:30頃
定休日 不定休
最寄駅 南千住駅
備考 2008年訪問当時は夜営業(17:00~19:30)あり。2014年現在は朝営業のみ。

7.出典(作品情報)