昔ながらの見た目。それでも白にピンクと鮮やかなナルトは生涯現役を物語っているかのよう。
いわゆる“こういうのでいいんだよ”な手作りラーメンを、こんなご時世でもワンコイン価格でいただける中華料理屋がJR鶯谷駅目の前にある。駅から徒歩1分どころか30秒すらかからない、本当に目の前の場所にある。しかもラーメン以外のメニューも豊富で、どの料理も基本的にお手頃&ボリューム充分ときたもんだ。
そんな、近所にあるとついフラリフラリと入り浸ってしまいそうな鶯谷の老舗「大弘軒(たいこうけん)」をご紹介。
JR鶯谷駅北口徒歩0分、というか駅目の前。創業40年以上の老舗「大弘軒」
こちらJR鶯谷駅北口。
そしてこちらが鶯谷の老舗「大弘軒」。
ご覧のように通り挟んで真向かいに店を構え、どんなにゆっくり歩いても徒歩30秒は切る駅チカ中の駅チカ。
山手線の駅チカと言えば、こう、こじゃれた雰囲気の飲食店こそ多いもんですが、「大弘軒」では今でもガチの中華サンプルを展示。
麺類・飯類・定食・一品料理はお手の物!ワンコインラーメンはじめ、豊富なメニューがお手頃価格で楽しめる鶯谷の老舗中華料理屋「大弘軒」
開店11:30~14:00まではライス50円のサービスタイム。
さらに、麺類・飯類の各大盛が50円増しで済む点と、ラーメン+チャーハンのサービスセットが1,000円ポッキリで終日利用可能という点は見逃せません。
裏面は定食やら一品料理やら。ハイボール(缶)という表記が律儀。
ざっとメニューを見渡して1,000円のメニューがラーメン+チャーハンのサービスセットとかに玉の2種類のみで、それ以外であれば千円札でお釣りが来ちゃいますよと。
探せばこの手の老舗は日本全国にまだまだ点在しているとは思うんですが、天下の山手線停車駅、それも改札目の前の場所で長年安価な価格を維持って驚嘆に値するんじゃないかと。
カウンター7席、2名掛け&4名掛けテーブルが1卓と3卓の計21席。
カウンターよりもテーブル席が多く、厨房との間に高めの仕切りがあるためカウンター席でも比較的落ち着いた食事が楽しめます。
BGMがラジオなのも往年の雰囲気に拍車をかけているように思えて◎。まあ正確には昔風を狙ったとかじゃなく経年変化によるなっちゃった的な昭和レトロ感なんですけどね。
卓上調味料は胡椒・酢・醤油にソースと自家製ラー油、さらにカウンター上に自家製ネギ油。
本格中華を謳いつつも既製品を当たり前のように置く店も少なくないなか、撹拌しないとドロリと底に濃いのが溜まるラー油を拝みますと、何だかホッとした気持ちになりますね。(実際に使うとホントにホットします)
「俺の1杯喰ってみろ!」的な自己主張全開のラーメン店が跋扈する東京では、かえってオーソドックスな1杯がありがたかったりもする。鶯谷「大弘軒」のワンコイン醤油ラーメン
豚バラ肉のチャーシュー、メンマ、青菜、刻みネギ、そしてナルト。
アラサーは「イエッサー!」と飛びつき、アラフォーは「フォー!」と興奮を隠せず、アラフィフ以上はさるぐつわをはめずとも「フィフー!」と色めき立つであろうクラシカルなビジュアル。(どんなビジュアルだ)
全体的に琥珀がかった色味だからこそ、純白のナルトとシャッキシャキ食感の青菜、それぞれの存在がより際立っているかのよう。
化学調味料の気配は帯びつつも、力強い鶏ガラ系醤油スープ。
細かいこと抜きに自然と「こういうのでいいんだよ」って気になれる、そうさせてくれる安心感もしっかりと。
たゆたう中細ストレート麺。
人によっては麺固めでの注文がベターかもですが、これはこれでスープの旨みをググイと引っ張り上げつつ噛み締められる感じもしますし、それ以上になつかしおいしい。
ズビビンズヴィヴィンズヴィチュラリン。
途中にネギ油タラリで揚げネギよりも高い純度で風味がプラスされてコクが増します。
アラサー以上だとラーメンに抱くイメージってこの「大弘軒」の1杯が近いんじゃないかって気はするんですが、アラサー未満にはかえって新鮮に映る気もしますし、そういう意味では老若男女問わない味わいと言えるんじゃないでしょうか。
じんわりスープを楽しみたいなら、塩味のタンメン。
タンメンだとラーメンよりも100円増し以上の価格設定を多々見かけますが、「大弘軒」の場合は550円で50円増しと実に良心的。
醤油ラーメンと同価格で塩ラーメンにもできるけど、
野菜の甘みがプラスされるタンメンの塩スープは、それはそれで捨てがたいもんがございます。
白濁タイプなら太麺にしても良いんだろうけど、クリアテイストだからニュルッとした柔らかい細麺がマッチ。
タンメンはキャベツ・モヤシ・ニンジンのシンプル具材だから、変化をつけるって意味で餃子をプラス。
タンメンが優しいからこそ餃子のいかにもな餡と香ばしい焼き目が強調されているかのようで、こういう老舗でもタンメン+餃子=タンギョウが名コンビなんだと実感。
名コンビという意味ではチャーハンも忘れてはいけません。
チャーシューでも玉子でもネギでもなく、ナルト入りってところが妙にそそるのよね。
ラーメン屋さんのチャーハンって醤油っ気の強い、見るからにしょっぱそうなルックスが多いけれど、中華料理屋さんだとこういう風に塩味のそれが主流だったりして、これはこれでラーメンのセットとしての役割をきちんと果たしてくれるんですよね。
アクセント付けに、50円のザーサイパリポリしつつ食べ進めても何ら違和感ございませんパリポリ。
食後、ふと空を見上げれば、一羽の鳥が悠然と。
江戸時代より鶯の名所として名を馳せた鶯谷で、40年以上同じ場所で通し営業を続ける難しさと頼もしさ。なんてったって抜群のロケーションも相まって、ランチタイムを中心に多くのお客さんで混雑することもありますが、時間帯をずらせば「こんなに落ち着く空間でのんびりしちゃって良いんですか」的な、そんなまったりとしたひと時を過ごせるのもこういうお店ならではってヤツなんでしょうね。
これからも肩肘張らずにフラリ足を運び続けますし、皆さんにだって気軽に足を運んで欲しい老舗町中華です。どうか末永く。
店舗情報
店名 | 大弘軒(たいこうけん) |
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住所 | 東京都台東区根岸1-7-11 元三島神社1F(地図) |
電話番号 | 03-3875-6493 |
営業時間 | 11:30~20:30頃 |
定休日 | 日曜日・月曜日が祝日の場合休み |
最寄駅 | 鶯谷駅、入谷駅 |
備考 | 営業時間&定休日は要確認。祝日営業も実施しているが、GWなどの大型連休時は休業の場合あり。 |