己【おれ】

主に東京・グルメ・漫画・旅行ネタ。己【おれ】と命名するも乙【おつ】と勘違いされることもよくある残念なブログです。

東京で60年以上繁盛し続ける超人気ラーメン店「永福町大勝軒」のボリュームたっぷり中華麺(生玉子付)

東京で60年以上繁盛し続ける超人気ラーメン店「永福町大勝軒」の中華麺(生玉子付)
直径24cmの特大丼に280gの中華麺とスープがなみなみと。「永福町大勝軒」の醤油ラーメン。

老舗で食べられるラーメンって、こうどこか落ち着いていて万人受けしそうな無難な味付け、何より量も控えめ…そういった想像をされる方も多いと思います。

思いっ切り持ち上げてもブレることのない280gの麺量@永福町大勝軒
豪快に持ち上げても丼には麺が盛りだくさん!

ところがしかし、東京で60年以上に渡って繁盛し続けている「永福町大勝軒」の1杯は一般的なラーメン店のおよそ倍レベルとボリューム満点、たらふくおいしい中華麺がいただける大行列店としても名高い老舗なのです。

京王井の頭線・永福町駅目の前。1955年(昭和30年)創業の老舗「永福町大勝軒」

京王井の頭線・永福町駅目の前。1955年(昭和30年)創業の老舗「永福町大勝軒」
お店は駅北口を出てすぐ。井ノ頭通りを挟んで斜め向かい。

「大勝軒」という店名を目にすると、「ああ、あの“ラーメンの神様”のお店?」と思いがちですが、こちらの「大勝軒」はあちらの「大勝軒」とは味もスタイルも別物……
この辺については別記事で詳しく書くかもしれませんが、とりあえず別物とだけ覚えておけば(マニアの皆さんじゃない限り)何ら問題はございません。

ちなみにこの井ノ頭通りを東西(写真でいうところの右左)各6kmくらい進めば渋谷・吉祥寺にたどり着きますので、「永福町大勝軒」で満腹になった後は腹ごなしに散歩してみるのもいいでしょう。

京王井の頭線・永福町駅目の前。1955年(昭和30年)創業の老舗「永福町大勝軒」
奇跡的にも店頭に行列がない状態を激写。

それでも店内は満席でしたし、この撮影直後にどっとお客さんが押し寄せ行列が作られて行ったあたり、さすがは超人気店。

「永福町大勝軒」の初任給は600万円(年収)
とはいえ、単に“駅前の繁盛店”という言葉ひとつで片付けられないのがこの看板。

要するに従業員募集の案内なんですが、何と言っても目を引くのが年収部分で、初任給600万円ですと。
もちろん誰それ構わず採用するワケではなく合格するのも大変、修行と称しているだけに働き始めてからはもっと大変というのは想像に難くありませんが、業界屈指とも言うべき高待遇を長年キープし続けているのは素直にスゴイと思います。(この独立制度を経て誕生したお店に「幡ヶ谷・金色不如帰」などが挙げられます)

また、地味にスゴイと思ったのが、突然の雨やカンカン照りに備えて雨傘と日傘が合わせて600本も用意されている点。だから並ぶためにわざわざそれらのグッズを持参しなくても良いのって嬉しいですよね。

「ラーメンはおやつではない、1杯のラーメンで満腹に」という信念を貫き、基本メニューは大盛ラーメンのみ

基本メニューは大盛ラーメンのみ@永福町大勝軒
デフォルト1杯1,000円超え、価格設定からも主食にしたいって思いが伺えます。生玉子付きやメンマ・チャーシュー増しも可能。

「安易に支店を増やすと味もサービスも低下し経費の面でも無駄が出て結果的に客にそのしわ寄せが行く。それなら1店で2店、3店分稼げばいい」との考えにも基づき、20年以上前から提供しているお土産ラーメンは1日約200杯の売上を誇る大ヒット商品だそう。

お土産セットに加えてそば玉も販売しているワケですが、近所に本家となる1929年(昭和4年)創業の製麺所「草村商店」が存在するからで、ここの中華麺を使っているお店にマイ・フェイバリット・塩ラーメンでおなじみの「西荻窪・はつね」などがございます。

L字型カウンター13席、2名掛け・4名掛け各テーブル1卓・2卓の計23席@永福町大勝軒
L字型カウンター13席、2名掛け・4名掛け各テーブル1卓・2卓の計23席。

机やイスは常時ピカピカ@永福町大勝軒
店内飲食とお土産ラーメンで1日の売上がおよそ800杯。驚異の25回転を誇るモンスター店でも机やイスは常時ピカピカ。

「永福町大勝軒」では催促せずともタイミングよくお冷を注ぎに来るスタイルを長年継続
お冷セルフサービスの飲食店も増えて来ている中、「永福町大勝軒」では催促せずともタイミングよく注ぎに来るスタイルを継続。

それだけスタッフがお客さんのことを見ているって証拠でもあるんですが、ちょっと面白かったのが、みんな共通して一心不乱にズビドゥバシュビドゥバかき鳴らすように大盛ラーメンを啜りまくっていた点。喋りに来ているんじゃない、「永福町大勝軒」のラーメンを食べに来ているんだって気持ちがひしひしと伝わって来るかのようでした。

1日に使う食材約250kg!圧倒的物量の厳選素材を惜しみなく使用した「永福町大勝軒」こだわりの醤油ラーメン

東京で60年以上繁盛し続ける超人気ラーメン店「永福町大勝軒」の中華麺(生玉子付)
特注のジャンボ丼、市販の倍サイズのレンゲなどがステンレス製トレイに収められて登場。

東京で60年以上繁盛し続ける超人気ラーメン店「永福町大勝軒」の中華麺(生玉子付)
第一印象はおいしそうよりも、ただただデカイ。

普通の中華麺にもチャーシュー・メンマは入るので、中華麺(メンマ付)にするでもチャーシューメンにするでもなく生玉子付にしましたと。

一般的なラーメン店のおよそ倍量を誇る「永福町大勝軒」の中華麺
よくあるサイズの丼より3cmも幅広、まさに陶器な洗面器にスープと麺がこれまたたっぷりと。

だからトッピングとして加わるチャーシュー・メンマ・刻みネギ・ナルト・柚子皮が申し訳程度に見えますが、普通の丼に普通の分量のスープと麺を張って盛り付ける分にはしっくり来るハズ。

一般的なラーメン店のおよそ倍量を誇る「永福町大勝軒」の中華麺
この手のビジュアルで「よっしゃ喰ったるぞー」って事前に気合い入れること、なかなかないと思います。

で、連続でお見せした4枚のラーメン写真のスープ表面がいずれも淀んでいるのは決してピンボケではなく“世界一の味”とも定評あるオランダ産カメリアラードが贅沢に使用されているから。

厳選素材を惜しみなく使用した「永福町大勝軒」の醤油スープ
最高級ラード、つまりはアブラを補うことで熱が逃げず、いつまで経ってもアチチなままですよと。

創業から60年以上に渡ってトライして来た味変えも300回超。中でも2014年に“頂上の味”を目指して断行した食材改革時にはカツオ節・宗田節・サバ節・煮干し3種それぞれの品質をさらに向上させ、1日で使用する魚介量も65kgと他店の10倍相当にパワーアップ。それら以外に豚骨100kg・背脂30kg・野菜類40kgと合計235kg…実に約250kgもの材料を1日で使い切ると言うから凄まじい。

知らないで口に含むとヤケドする熱さの、全面に煮干しの風味が立つ和風スープ。大量の魚介類を使用していても生臭さが感じられないのは、素材そのものが上質であることに加えて程よい塩梅でラードが効いていることも理由のひとつとして考えられそうです。

スープと添い遂げるように、なめらかな舌触りな「永福町大勝軒」の中太縮れ麺
スープと添い遂げるように、なめらかな舌触りの中太縮れ麺。

思いっ切り持ち上げてもブレることのない280gの麺量@永福町大勝軒
グワシッ!と思いっ切り持ち上げてもブレることのない280gの麺量。

平均的な中華麺が1玉140gで「永福町大勝軒」は2玉分。1杯の丼で2杯分味わえるという冷静になるとちょっとおかしな分量ですが、スープも負けじと多いので結果オーライってヤツでしょう。

掘っても掘っても中華麺が湧き出てくるかのような錯覚@永福町大勝軒
これが油田なら、おれは今頃きっと大金持ち。

一昔前のラーメン屋さんだと麺よりもスープが多くって、「ああ、もうちょっと麺食べたいのになぁ…」って思うことも少なからずありましたが、「永福町大勝軒」ではそんな気持ちは皆無。掘っても掘っても中華麺が湧き出てくるかのような錯覚に陥れますし、ヘタなサイドメニューに頼らずとも1杯のラーメンで充分な満腹感が得られること請け合い。

アツアツスープだからこそ真価を発揮する生玉子@永福町大勝軒
アツアツスープだからこそ真価を発揮する生玉子。

いわゆるつけラーメンにすれば卵黄のまろやかさがプラスされてコクと深みが増しますし、適度に冷まして食べられる、甘みも増すから猫舌な方や子供でも安心していただけますと。
ラーメン店のトッピングでは味付玉子が重宝されがちですが、「永福町大勝軒」の場合はこの生玉子追加がガチ。ひと回りでかい土鍋級の丼、何だか1人すき焼きをこなしているみたいですがウマイんだなーこれが。

中華麺に生玉子を直接ドボンした月見状態@永福町大勝軒
こうやって丼に直接ドボンしちゃってもいいだろうし、1個と言わず2個、3個付けしてもいいかもしれません。

ただ、バランスが悪くなるからとラーメン自体の大盛はおろか少なめも非対応なだけに、果たして生玉子マシマシなるキワモノを受け付けてくれるかは正直微妙なところではありますが、どうしても玉子ダブル・トリプルを実現したいならお土産セットを買って帰る(通販も可)のが確実ってところでしょうか。

「永福町大勝軒」の卓上調味料
卓上調味料の胡椒がドンピシャなラーメンですが、生玉子付ならラー油をたらーりするのも良さ気。

「永福町大勝軒」では催促せずともタイミングよくお冷を注ぎに来るスタイルを長年継続
顔から汗が吹き出しても、冷たい水とボックスティッシュで乗り切る!

最後の一滴までアツアツのラーメンだけど、冷たい水があるからこそスルスル食べ進められるってヤツですよね。

「永福町大勝軒」ではこの氷水提供を1962年(昭和37年)と50年以上も前から実施。クーラーも製氷機も普及していなかった時代、生ぬるい水を出すお店が大半だったことに目を付け始めたこのサービスは、夏場でも客足をキープするキッカケとなったそう。
もちろん、ガブ飲みし過ぎるとそれはそれでお腹タプタプになるので注意は必要なんですけど、そういうエピソードを知っていると、今でこそ当たり前の氷水でもついグビグビってイッちまうんですよね!

お冷飲み過ぎでスープ完飲ならず(汚いのでぼかし処理済み)
すみません、お腹タプタプでスープ完飲することができませんでした。(汚いのでぼかし処理済み)

国民食だから・ミシュランガイドに和食として取り上げられたから・初期費用が比較的抑えられるから…なども追い風にラーメン店開業は後を立ちませんが、そんな飽食の今よりもずっとずっと昔、戦後の食糧難が続いていたとされる昭和30年にラーメン専門店として狼煙を上げ、半世紀以上に渡って数多の試行錯誤を繰り返し、「永福町に大勝軒あり」と言わしめるに至った事実はそれだけで驚嘆に値します。まさに大勝かなと。

後継者や弟子、何より地元民を中心としたお客さんにも恵まれ、「永福町大勝軒」の味と心はきっとずっと受け継がれて行くでしょうし、こういう地域密着型のおいしい老舗も生き残っている現状に鑑みると、ご当地ラーメン店巡りはまだまだやめられそうにありません。

店舗情報

店名 永福町大勝軒
住所 東京都杉並区和泉3-5-3(地図
電話番号 03-3321-5048
営業時間 11:00~23:00
定休日 不定休(毎月店先に休業日を貼り出し)
最寄駅 永福町駅