そんなワケで、久しぶりのニンテンドーDSソフトレビューです。
「声に出して読みたい日本語」等の著者として有名な齋藤孝先生監修の3色ボールペン塾、怪しい以外の何物でもない、そんな塾名ではありますが、果たしてどんな内容なんでしょうか。
そもそも三色ボールペン方式とは?
イメージ図ですよ、念のため。
黒一色の文章に赤、青、緑の三色のボールペンを使って線を引きながら読むことで、内容をより深く理解することができるようになるメソッド。
- 赤:客観的に見て「すごく大事」と思ったところ
- 青:客観的に見て「まあ大事」と思ったところ
- 緑:自分が「おもしろい」と思ったところ
線を引いて読む。たったこれだけで読解力、要約力が高まり、読書がもっと面白くなるんだとか。
そしてそんな方式を数々の名作と共に実践で学ぶことができるそうです。
なるほど、読書嫌いの大人はもちろん、お子さんの教育目的だとか幅広く使えそうですね。
日本文学珠玉の名作を20編収録
これまたイメージ図です。
収録されている20編は以下のとおり。
- 「走れメロス」太宰治
- 「こころ(抜粋)」夏目漱石
- 「よだかの星」宮沢賢治
- 「汚れつちまつた悲しみに……」中原中也
- 「駈込み訴え」太宰治
- 「桜の森の満開の下」坂口安吾
- 「山月記」中島敦
- 「舞姫」森鴎外
- 「羅生門」芥川龍之介
- 「檸檬」梶井基次郎
- 「ごん狐」新美南吉
- 「セロ弾きのゴーシュ」宮沢賢治
- 「夢十夜」夏目漱石
- 「手袋を買いに」新美南吉
- 「注文の多い料理店」宮沢賢治
- 「蜘蛛の糸」芥川龍之介
- 「風と光と二十の私と」坂口安吾
- 「饗応夫人」太宰治
- 「高瀬舟」森鴎外
- 「鼻」芥川龍之介
おお、読書嫌いのおれでも知ってる名作ばかりじゃないですか。
もちろん、知ってる=名前だけ知ってるって意味で、どれもろくに内容は知らないワケですが。
ただ、そんな風に日本文学に無知な人も造詣の深い人でも、このソフト1本で20の名作に触れられるんだからおトク感はありますよね。
… … …
すみません、ホントだったら各作品に対して何か気のきいたことコメントをしたり、個人的な思い入れを語ってみたりしたいワケですが、いかんせんいずれの作品もろくに読んだことがないため、ごくごく当たり前のこと、それこそ小学校1年生の読書感想文程度の内容しか書けなかったり、小泉前総理の「感動した!」くらいに主観的なコメントしか言えないため、一身上の都合により、そのへんは泣く泣く拒否割愛させていただきます。
そのくらい、低レベルな自分ですから。
あっ、走った。
似たような感覚で、何十冊もの辞書を収録した電子辞書が挙げられますが、家はもちろん、通勤・通学の電車やバスの中でもDSで文学…そんな時代が訪れるかもですね。
ちょっとした意気込みを語る?
さて、こっからは実際のゲーム画面です。
ちなみに、今回使用するDSはブラックではありますが、本来なら3色のボールペンを使用するってことにちなみまして、
クラブニンテンドーでもらったカードケースと7色タッチペン。
きちんと赤、青、緑の3色を使い、いざ実践!!!
のつもりが、めんどいので止めました。じゃあ書くなよ
初期設定→メインメニュー
名前を登録したり利き手を選んだり。
確か脳トレとかもそうだったと思うんですけど、利き手まで選択するのって、DSではすっかりおなじみの光景ですよね。
初期設定後のメインメニュー。
内容は実にシンプルで、名作を読む、日本語ドリル、記録設定の3種類のみ。
名作はこんな感じで読めます
走れメロスの冒頭あたり。
右利きで設定した場合、本文右側にペンの色やページを切り替えるボタンがあって、タッチペンのみの操作で読み進めることができます。限りなく読書に近いですね。
客観的に「まあ大事」と思った部分に青線を引いてみる。
意外にタッチペンの操作って、慣れてるつもりがうまく文字が書けなかったりしませんか。
マウスクリックの要領でタッチすることはできても、文字なり線を書くとなると、これがなかなか…。
それでも、直線に補正してくれます。
機械にとっては朝飯前の処理なんでしょうが、これがなかなか気持ちの良いもんです。
実際に小説に線を引く場合、こんな風にうまいことしてくれませんよね。
線引きはもちろん、ペンの色を変えたり間違って書いた線を消すのもワンタッチなので、結構面倒くさがりな自分でも、作品の最後まで線引きすることができました。
ふりがなも表示してくれるので便利です。
そもそも3色の線を引く意味って?
線の重複はもちろん、語句を丸で囲むこともできる。
客観的に考えるって時点で構えてしまう人がいるかもしれません。
「まあ大事」なら青、「大事」なら赤って具合に、やるべきことは理解しているけれど、実際に線を引いてみると、どこに何色を引いたらいいか分からない。
そんな場合はとりあえず、青色を引くことから始めてみましょう。
詳しくは↑画像の説明をご覧下さい。
ついでにこれらの説明も。(クリックすると拡大します)
要するに、その作品に対する理解を深めるだけではなく、客観と主観の切替に習熟することで、日常生活で役立つ状況判断力、読解力、要約力を養うことができるんです。
説明書にはそう書いてあったんですが、なるほど、そうゆう意味でもおトクなソフトですね。
ちなみに、究極の手段。線を引かない
例えば、夏目漱石の「こころ(抜粋)」でね。
うおりゃ~~~!!!ってページをめくるめくる。
もうめくるめく、めくるよめくるページをめくるよ。(別にボタンを連打する必要はない)
…こんな風に「こころ」って作品なのに心ない行為で読破したとします。
何も知らない齋藤先生。
詳しく見られましても。
と思いきや、見事に線を引いてないことがバレバレ。
そりゃそうだ。
でも、読破したと認められます。
3色使い分けて線を引くことがいかに効果的なメソッドとはいえ、人によっては受けつけない場合もあるかと思いますし、単純に作品だけを読みたい、そんな方もいるかもしれませんね。
そうゆう場合に最適なのがこの悪法です。
線を引くだけがすべてじゃない、生き急ぐならぬ読み急いだって、時にはいいのかも。
てっきり先生に怒られるかと思いきや、見事にスルーと大人の対応、ある意味これも心ない行為って言えるんじゃないでしょうか。悪いのおれだけどさ
ただ、この方法を一概に悪いと決めつけるのではなくて、このソフトを楽しむ別の方法と割り切ってしまえば、心が案外楽になるんじゃないでしょうか。
少なくとも、進研ゼミのペーパーテストをわざと無記入で提出し、かの赤ペン先生より無回答で返送された過去を持つ自分に比べたら楽勝ですよ。
(もちろん、悪いのボクですごめんなさい)
名作以外にも、ドリルで日本語トレーニング
再びイメージ図っす。
他にも、東大家庭教師友の会が作成したドリルに挑戦して知識を深めたり、名作を読んだ後にはその作品や著者にまつわるクイズで理解を深めたり、様々な側面から日本語を、日本を知ることができるお勉強ソフトって感じですかね。
それで、最後に総評
ナンダカンダで、
ゲームというよりはむしろ、最近DSでよく見かける学習教材ソフトに位置付けられるし、言ってしまえばこのソフト、まさに脳トレのようなものです。
多少の義務感を覚えるであろう文章への線引きも、塾と銘打ってる点、作品やら日常生活を読み解くスキルを身に付けられるであろう点を考慮すれば、まあ許容範囲内の行為と言えるでしょうか。
ただ、せっかくニンテンドーDSってハードで発売したんだから、例えばWiiでは、ファミコン、スーファミ他、懐かしのゲームを本体にダウンロードして楽しめるように、続編が発売されるのであれば、追加で名作をインストールできるだとか、DS、更にはニンテンドーWi-Fiコネクションの性能を活かしてたら面白かったんじゃないかと。
あらかじめ20編を決めて収録するには何かしらの意図があったかと思いますが、作品を通して得られる理解が十人十色であるように、題材にも選択の余地があれば尚良かったです。
… … …
とまあ、最初はタダのゲームソフトだしいっかって軽い気持ちだったんですけど、これはこれで、なかなかアリなんじゃないかと、そんな感じです。
単純に名作20編が読めて4000円切るんだから、不満はそう起こらないじゃないでしょうか。