日暮里駅から谷中銀座に向かう途中にある「夕やけだんだん」は、付近にはたくさんの猫が日向ぼっこをしていることから「夕やけにゃんにゃん」とも称される名所。
そんな石段の上から谷中銀座商店街を行き来する大勢の観光客を眼下に「見ろ!人がゴミのようだ!!」の迷言を決めつつ、そのまま軽やかに日光を直視して「目が、目がぁ~!」のセルフバルスを繰り出し自省するくらい大好きな谷根千(谷中・根津・千駄木の各頭文字を取った東京の大人気散策エリア)なんですが、歴史ある町並みには面白い老舗が付き物!
…ということで、
甘味処なのにジャンボ餃子がイチ押しの老舗「花家」をご紹介。
日暮里駅西口徒歩2分。中華&甘味メニューが充実した1945年(昭和20年)創業の老舗「花家」
天気の良い日だと、大抵の皆さんは「人がゴミのようだ」宣言をしに真っ先に夕やけだんだんに向かうものと思われますが、その途中にあるのが「花家」。
となりに似たようなメニューを取り扱う「あづま家」がございますが、今回紹介するのは向かって左の「花家」で、店頭では真っ赤な餃子ののぼり旗がロージアがごとくハタハタと揺れております。
一見するとどこの甘味処と変わらない雰囲気。
けれども生ビールやハイボールのポスターだったり、目を凝らせばかきラーメン(季節限定)の札を拝めたりと、なかなかカオティックな様相を呈しているのがポイント。
ポイントといえば、店内は奥に向かって4名掛けテーブル12卓の計48席とかなり広めなのもポイント。
BGMがピアノクラシック、全席が座り心地良好なチェアタイプの椅子なのも落ち着きを与えてくれる感じで良いですね。
甘味メニューから目を通すと不思議っぷりが際立つ「花家」のメニュー一覧
表面。
甘味カテゴリは「うん!これこれ!」と心の中で唸ってしまいそうなラインナップですが、お飲物→お酒→おつまみの各カテゴリに進むにつれて「おんや?おやおや」と目が丸くなり、
裏面に到達する頃には「この店、一筋縄では行かない」って感想を抱くんじゃないでしょうか。
近隣の女子大プロデュースの栄養満点メニューが飾られていたり、
中華屋さんで当たり前のように見かける調味料一式も揃えつつ、
生寒天についての詳しい説明書きが貼り出されてて、個人的にゾクゾクもんのカオスっぷり。
これが創業数年以内の若い店やらチェーン店なら「あらメニュー豊富で良いですねー」と素通りしちゃうんだろうけど、終戦の年に創業した70年以上の歴史を誇る老舗だからってのはかなり大きな理由として挙げられますね。戦争は終わったけれど「花家」では何が始まったと言うのか的な。
ラーメンと同料金なのについ目を奪われ注文しちゃった「花家」のワンタンメン550円
ラーメンとワンタンが同じ値段はよくありますが、
普通に麺もワンタンも入って550円ってどういうこと?って思うじゃないですか。
で、答えを言ってしまうと、550円のワンタンメンは麺半玉(70g)と少なめだからラーメンと同一料金とのことで、麺1玉(140g)の通常ワンタンメンにしたい場合はワンタンメン大盛(+100円)で注文すればOKですよと。通常のワンタンメンなのに大盛コールって良い意味でちょっとクスッとしちゃう。
昔ながらの鶏ガラ醤油系のアッサリスープ。
トッピングはチャーシュー、メンマ、刻みネギ、青菜、ナルト、それにワンタン。
麺は70gと軽めだけど、それと同じくらいにチュルンとした、皮と餡の比率で圧倒的に皮なワンタン入り。
雲呑(わんたん)の字を体現するような、まさに雲を呑むようにチュルルンと吸い込める、中華麺をズビビンズヴィヴィン啜り込むのとは違う食感が1杯の丼で堪能できるのって、うん、楽しい。
名うてのラーメン屋さんだとまん丸太った具だくさんのワンタンでもてなしてくれることが多くって、それはそれで美味しいのは間違いないんだけれども、そういうワンタンがあるからこういうワンタンにだって手を付けたくなるっていうかね。伝わりますかね、この感覚。
ワンタンメンが軽いからって、同じ汁物のしるこを頼めばカロリー的にも充分でしょうし、何より甘味処にいるんだって気持ちがよみがえります。
「おすすめは何ですか?」の質問に「餃子です」と即答してくれた、イートインでもテイクアウトでも大人気な「花家」のジャンボ餃子
おしるこで甘味な気分を取り戻したところで、結局また中華な気分に染まる不思議。
こんなにシッカリとした焼き餃子を出す甘味処、そう無いんじゃないでしょうか。
この餃子をツマミに瓶ビールグビグビなおじいちゃんもいたり、店頭で「餃子3人前ね」ってカジュアルに生餃子を注文する常連のお母さんが当たり前のようにいるし、しかも甘味よりも餃子お持ち帰りの率が高くってもうね、一言で、面白い!
この記事書きながら「あれ?おれって甘味処の記事書いているんだよな……??」って一瞬混乱するほどに皮厚め、餡もタップリのジャンボ焼き餃子。
ガヴリシャス!
まあ、結局和菓子で〆ることが多いから「花家」については甘味処って印象が強いですけどね。
房州粗目天草を煮込んだ天然の自家製寒天入りのクリームあんみつ。
寒天・アンコ・黒蜜の優しい甘みはもちろんのこと、フレッシュジュースも取り扱っていることが大きいのか、フルーツの瑞々しさが際立っている点も見逃せません。
プルプルの寒天とジューシーな果実に心もプルプル。
1個あたりが市販の1.5~2倍とひと回り大きい餃子が駅前で、それも戦前の風景を色濃く残す谷中という場所で味わえるのって、本当に良い時代だなって思います。
「花家」が戦後間もない頃から今日までつながって来たように、この当たり前なようで当たり前じゃないともとれる日常、すなわち平和がずーっと続いてくれれば良いなーと。いくらかのセンチメンタルも調味料に、もろもろおいしく完食するのでした。
接客も良いから谷根千散歩の途中に寄り続けたい、そんなお店です。
店舗情報
店名 | 花家 |
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住所 | 東京都荒川区西日暮里3-2-2(地図) |
電話番号 | 03-3821-3293 |
営業時間 | 10:30~20:00 |
定休日 | 火曜日 |
最寄駅 | 日暮里駅 |