玉子とじラーメンはママの味!
体育館裏でペコちゃんにペコペコ平謝りしないといけない出だしで恐縮ですが、“名古屋めし”で日本全国はおろかきっと世界中を轟かせているに違いない愛知県名古屋市には「玉子とじラーメン」なるご当地ラーメンがございます。
名古屋のご当地ラーメンと言ったらダントツの知名度を誇る「台湾ラーメン」を筆頭に「好来系ラーメン」「ベトコンラーメン」「ラーメン福」と様々でして「玉子とじラーメン」もそのひとつですと。
ただの玉子とじとは異なる作りだから麺とスープが絡む絡む。
その土地ならではのご当地ラーメン、それすなわちママのあ…
今回はそんな「玉子とじラーメン」元祖の老舗、名古屋市中村区太閤通の中華料理屋「萬珍軒」をご紹介。
すでにタイトルでネタバレ状態ですが、名物ラーメンはもとより、1人でも複数人でも気軽にお世話になれちゃう懐の深さが個人的にツボでした!
【雑学】玉子とじラーメンとは?
- 1968年(昭和43年)に「萬珍軒」先代店主が生み出した名物料理
- 豚骨&名古屋コーチンの鶏ガラを長時間煮込み、玉子を混ぜてとろみがかったスープと極細麺な組み合わせの醤油ラーメン
- 全卵(1杯のラーメンに2個分)を加えたタレをスープで割るのが最大の特徴で、従来の玉子とじにはないまろやかさを実現
- 「萬珍軒」では玉子抜き・麺のおかわり(替玉)にも対応し、玉子とじ担々麺など複数メニューを展開
「萬珍軒」について
店舗情報
店名 | 萬珍軒(まんちんけん) |
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住所 | 愛知県名古屋市中村区太閤通4-38(地図) |
電話番号 | 052-481-8824 |
営業時間 | 17:30~26:30(L.O.26:00 ※売切れ次第終了) |
定休日 | 日曜日・第3月曜日 |
支払い | レジにて現金払いの後金制(カード・電子マネー不可) |
席数 | 65席 |
タバコ | 禁煙 |
最寄駅 | 名古屋市営地下鉄桜通線・中村区役所駅 |
駐車場 | お店隣りに14台分、近隣に15台分 |
外観・内観など
中村区役所駅4番出口から太閤通を西に約200m、徒歩3分ほどの場所にある老舗中華「萬珍軒」。
現在地に移転して約半世紀の老舗だそうですが、これまでに3度の増床改装をしていることから、地元の方や「萬珍軒」に関する知識がないと普通にファミレスと勘違いしてしまいそうな雰囲気。
有名店でよく見かけるウェイティングリストを店頭に設置。
平日金曜22:00過ぎの訪問で65席の店内は満席、外待ちのお客さん多数という繁盛っぷり。
頻繁にマスコミに取り上げられる人気店とはいえ、平日夜だったこと、観光客は栄や錦といった繁華街に繰り出す傾向が強いのか、仕事帰りの1名客に複数人客(友人・同僚・カップル)と地元民の割合が高めでした。
完全禁煙でテーブル席メインの小奇麗な店内。
ラミネート加工されたメニュー。
お店の造り、麺類以外にもかゆいところに手が届きそうな豊富なメニュー数。ここでも老舗中華料理屋というよりはファミレスって印象は拭えなかったんですが、それゆえの老若男女問わない利用のしやすさってヤツがあるのかも。
名古屋で愛され50年。「萬珍軒」の元祖玉子とじラーメン
シンプルに基本の玉子とじラーメン(醤油)。
トッピングを増やしたり担々麺にしたりもできますが、オーソドックスなこちらだと、豚バラ肉のチャーシュー2枚・刻みネギ・海苔。
海苔の表面には謎パウダー(ただの胡椒にしては独特で刺激的な後味)が振りかけられていて、途中でスープに浸すと味が変わる・口直しにもなる便利アイテムって位置付けなんでしょう。
スープじゃなくタレに直接玉子をドボンだからか、全体的にきめ細やかな仕上がり。
レンゲでスープをズビビビ吸い込むじゃないですか。するってえといわゆる玉子スープや月見ラーメン、さらに言えばすき焼きの玉子よりもしっくりって感じるんですよ。
お分かりいただけるでしょうか…って、あまりの接写で不健康そうな色味となってしまいましたが、食べると栄養満点、健康にも一役買いそうなまろやか鶏豚骨スープ。
後から玉子を入れるとそれはそれでダイレクトにコクと深みが増す、すき焼きの玉子には取り分けた肉や野菜を冷ます役割もあるから一概にどれが最高とは決められないんですが、この玉子とじスープの一体感はなかなかのもの。生卵のあのニュルッとな口当たりが苦手な方でも意外とイケちゃうんじゃないかな。
今度はピンボケと散々な写真どもですが、特注極細麺が玉子とじスープをとことんすくい上げますと。
一般的な麺とスープを啜り上げる際のオノマトペをズビビンとするなら、この玉子とじラーメンのそれは、ドゥヴィヴィン。
麺一帯がねっとりコーティングされているからいつもの感覚で麺を含むと想像以上に口が麺とスープであふれちゃう、こんなの初めて!って書くのはちょっと大袈裟なので打ち消しますけど、ズビビンやズビビビビンでもなくサ行がタ行にひと回り大きくなったドゥヴィヴィンです…ええ、シラフなのでご安心ください。
しかしまあ、出来上がったラーメンに対して玉子を追加するのとは違い、タレの段階で玉子が加わっていて、そこにスープを割り入れることで広がる風味、それってつまりはビッグバンなんじゃないかと。
この手法が編み出された当時、玉子とじラーメンという名の宇宙が始まったという意味でのビッグバンと、タレにアツアツのスープを注ぐことでドカンとかさが増すって意味でのビッグバン、そんなダブルビッグバンなラーメンなんじゃないか、と。(ちなみにラーメン1杯あたりに玉子2個使用って意味でもダブルです)
で、これまで食べたラーメンで近いと直感したのが、東京・東小金井「宝華」の油そば。ラーメンと油そばって別物、それに麺の太さも使う食材も厳密には違うんですが、どりゃりゃと撹拌したあの卵かけごはんならではの味わいっぷりが共通しているなと。
〆の玉子かけラーメンが「萬珍軒」の真骨頂を発揮、そんな気がする
もちろんラーメンだけで済ます、あるいはラーメンを先にって食べ方でもオーケー。
実際おれは先にラーメンをいただいたんですが…
特製オイスターソースと黒胡椒で和えた砂肝の冷菜!
ひと口サイズの薄皮ぎょうざ!
名古屋と言ったら手羽先の唐揚げ!
牛すじの煮込み!
蒸し鶏のネギソース!
ニンニク炒飯!
青菜炒め!
…な具合に、こういう各種料理やお酒もおいしくいただけちゃうのがこの手の大型店舗の強みだとも思います。
なお、本記事タイトルと文中で「萬珍軒」を3回ファミレス呼ばわりしましたが、本当にただのファミレスに落ち着くのなら朝から晩までの通し営業&年中無休の多店舗展開に踏み切るでしょう。
ただそうじゃなく、夜だけ営業の日曜定休、何より元祖玉子とじラーメンを味わえるのが太閤通沿いのこの店舗のみ。
安易に手を広げ過ぎないところに老舗の矜持とやらが伺えます。
ファミレス(4回目)のような気軽さも併せ持つ。だが、それがいい。
頻繁に足を運べない名古屋だから今後もベタな名所巡りやいかにもなお店に行ったりもするんだろうけど、こういう大衆中華料理屋さんとかにあえて観光客が立ち寄らない時間帯、それこそ地元民に囲まれちゃいましたーなひと時を過ごすことでリアル名古屋を満喫してみるのも面白い、そんな気もしました。