味噌汁のように毎日でも食べられる「こうかいぼう」のラーメン。
ラーメンが好きで開業に至るケースはよく聞きますが、毎日食べたいほどに大好き→本当に毎日食べられるラーメンを追求し続ける、それも日々の営業をきちんとこなしてってなるとレアケース。
今回紹介する「こうかいぼう」は、栄養面も考慮された最後の1滴まで美味しいラーメン、何より「お・も・て・な・し」が流行語としてもてはやされるずっと前から実践し続けている、全てのラーメン店、いや飲食店が見習うべき気持ちの良い接客サービスも売りなのです。
地下鉄東西線&大江戸線・門前仲町駅より気合を入れて徒歩6分。2001年10月14日創業のラーメン専門店「こうかいぼう」
連日多くのお客さんで賑わう葛西橋通り沿い。
「気合を入れて徒歩6分」は実際ショップカードにも印字されており、そういう意味だと地下鉄・清澄白河駅からも気合を入れて徒歩10分くらいでアクセスできる立地。
のぼりはのぼりでも店名に「美味い!」ののぼり旗。
もはや「ラーメン」とかってのぼり旗を掲げなくても充分なくらいの知名度を獲得しているのか、すぐ横で「ラーメン」「つけ麺」ってヒラヒラ風に舞ってるし重複してまで掲げなくても良いだろーって考えなのかは知りませんが、看板・暖簾・のぼり旗ともに奥様デザインによるもの。パンダモチーフのキャラクターが何とも愛らしいですね。「こうかいぼう」って店名なだけに、こうかいくん(縁起でもないな)、ぼうちゃん(引退するベビースターのキャラみたいだな)とかって名前だったりするんでしょうか。「孤独のグルメ」でも有名な川崎の焼肉屋のキャラクターともども地味に気になります。
2016年で創業15周年ということで、10月第3週は祝花が飾られておりました。おめでたい。
店頭と店内それぞれに待合用の椅子が用意されており、混雑時だと立って並ぶことになりますが、事前にメニューを渡してくれるなどの気が利いた接客でもてなしてくれるので待つのもさほど苦ではありません。むしろ早く食べたいって気持ちが上回ります。
接客と言ったら「こうかいぼう」、「こうかいぼう」と言ったら接客。美味いラーメンと同等以上に評価される雰囲気とサービス
店内はカウンター7席、4名掛けテーブル2卓の計15席。
常連客多数、当然初めて訪れるお客さんにだって分け隔てることなく丁寧に接していただけるんですが、まあ待合席で店主と奥様の見事としか言いようがない二人三脚っぷりを拝んでみてくださいよと。テキパキ動くのは言うまでもなく、調理担当のご主人だって時には配膳だとか後片付けにも繰り出したり、つけ麺を食べ終えた女性客がいちいち「スープ割りください」と発する必要もなく自発的に「(スープを)お持ちしますね」と愛想良く添えてくれたりなどなど、この手の好感接客エピソードは枚挙に暇がありません。
冒頭で「栄養面も考慮された最後の1滴まで美味しいラーメン」と言及しましたが、「栄養ありますよ」「毎日食べても問題ありませんよ」と声高に叫ばなくても、スリムで引き締まったおふたりの体型、軽やかな愛ある身のこなしを拝見していれば「栄養あるんだな」「毎日食べたって良いんだな」と実感させるだけの力強さはありますよね。
ご主人は好タイムの成績を修めるランナーの肩書きも有しているそうですが、奥様も日頃走られているのかな?普通に皇居周辺を仲睦まじくランニングされていてもまったくおかしくないですね、ええ。
門前仲町「こうかいぼう」のメニュー一覧(2016年11月時点)
ラーメン&つけ麺を看板メニューとし、トッピング、セットメニューにおつまみ、ビールが脇を固めます。
セットにしても麺類の量は据え置きなのは嬉しく、ラーメン&つけ麺ともに麺量は並150g、大盛りは1.5倍の225g。ごはんの大盛りは+50円。ラーメンにチャーシューご飯がついて1,000円切るってこのご時世にありがたいっすね。味玉付けても1,000円ポッキリ。
BGMは洋楽オールディーズ、奥の壁でピカーと光るカールスバーグのネオン。
ラーメン店でカールスバーグの生ビールが飲めるのって珍しいですし、キリンハートランドも用意されており、ラーメンは和風なんだけどそのテイストに染まり切らない柔軟さとやらも伺えますね。
まあランチ訪問だったので、残念ながらビールではなくお冷グビグビリンでしたが。
コンパクトながらも必要なもん揃えてまっせなカスターセット。
アブラに頼らずダシの旨みで食べさせる1杯!門前仲町「こうかいぼう」の美味しい醤油ラーメン
+300円でチャーシュー追加しておりますが、デフォルトだと1枚。
海苔については、本来1枚のところ3枚乗せなのは以下のやり取りがあったから、かな。
後客2名をカウンター席に迎え入れる際、おれが1席分横に移動すれば彼らがスッポリ収まる、移動しないとまだまだ待たせることになるなと考え、奥様に「横に移動しましょうか?」とお伝えしたところ照れるくらいに何度も感謝され、ささやかなお礼として海苔2枚をサービスしてくれたんじゃないかと思うんですよね。
まあいちいち確認するのも野暮だったので美味しくいただきましたが、気分はノリノリならぬ海苔海苔、歯に海苔がくっついてても大差ない顔面に生まれて良かったと思うひと時でした。
ということでトッピングは、チャーシュー、メンマ、刻みネギに海苔とオーソドックス。
オーソドックスなんだけれども、しっとり柔らかくて美味しいチャーシューをはじめ、単なる具材にだって手抜きを感じさせない高度な仕上がり。
2016年に入りニボニボ感が増した魚介系醤油スープをズビビビビ。
豚ゲンコツ・鶏ガラ・煮干し・カツオ節・サバ節にたくさんの野菜で取ったダシ、伊豆大島産海水100%の天然塩「海の精」と4種類もの醤油をブレンドしたタレ。店内POPによればスープのまろやかさは「海の精」によるものと紹介されておりますが、シーガルフォー浄水器の効果もかなり関係してそう……って、まあ小難しいこと抜きにね、ただただ美味しいですよと。かと言って優し過ぎるって印象に終始しないのは煮干しがシッカリ効いているからってのもありますね。
濃厚そうだけどクドくない、短いスパンでまた食べたいって思えるのは極力アブラを排しているからでしょう。栄養があるけどマズイのは勘弁ですが、このスープは栄養もあって尚かつウマイですからね、 もう許されるならずっと口にしていたいし病床に伏したら点滴代わりに使って欲しいものです。
菅野製麺所の特製たまご麺は中太ストレート。
食べ始めはちょっと物足りない?ひと口啜って「ぐおお!うめえ!!」って咆哮するタイプとは異なる穏やかなスープの旨味を、箸で持ち上げ口に運んでを繰り返すとね、この中太麺がしっかりとストレートに体中に伝播させてくれる気がするんですよね。
スープ量は一般的なラーメン店の1杯よりもかなり少なめだけど、その方が無理なく飲み干せますし、「ああもう少しで無くなりそうだ。…ま、また食べに来よう!」だなんてことを麺啜りながら少しでもポジティブに考えさせてくれちゃうあたり、まあ絶妙のコンビネーションってヤツなのでしょう。
麺類を大盛りにするのはけっこう。でも同じ金額払うなら、卵かけご飯にするのがけっこうけっこうコケコッコー
「孤独のグルメ」の主人公が駒沢公園の牛煮込み定食専門店を訪れた際の迷言を思い出す見出しですが、麺類に+100円することでご覧の卵かけご飯を終日頼むことができちゃいます。
コツンと割って入れ、
卓上の醤油代わりにあえてラーメンスープを回しかけ、
ドガガガかき混ぜ、
ご飯にイン!
そのままでも、お好みでブラックペッパーを合わせリゾット風に召し上がってもOK!
まあ、タレ染み染みのチャーシューとちぎり海苔がオンするチャーシューご飯も非常に捨てがたいんですけどね。
いずれにせよ、完食です!(汚いのでモザイク処理済み)
これからも「こうかいぼう」であり続けますように。料理もさることながら抜群のおもてなしを受けたいがために通う1軒
【注意】世間の荒波を乗り越える航海にちなんで「こうかいぼう」ではありません。
ラーメン屋さんでの食事ってレストランやカフェなどのそれに比べてせわしないもんですし、大人気の「こうかいぼう」とて、いや大人気だからこそどうしたって長く滞在することはできません。できませんなんだけど、会計時にこれほどお客さんが笑顔なお店もなかなかないんじゃないかって思えるほど、そこには優しい空気と目の前のお客さんを大切にする、当たり前のことを当たり前にこなし続けることの強さを垣間見るんですよね。
聞き慣れない「こうかいぼう」という言葉ですが、「“広”く“皆”様に“望”まれるお店を目指して精進する」を略して「広皆望」、それを平仮名にしたもので店主による造語です。そしてそれを体現されているのがお見事ですし、「千駄木・神名備」やら「西麻布・三河屋」のように、料理もさることながら、抜群のおもてなしを受けたいがために通う1軒として、今回こちらの「こうかいぼう」も挙げさせていただきます。
名店!毎日でも食べられる、食べたくなるのはこういう1杯なのかもしれません。
店舗情報
店名 | こうかいぼう |
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住所 | 東京都江東区深川2-13-10(地図) |
電話番号 | 03-5620-4777 |
営業時間(平日) | 11:00~15:00、17:30~売切れ次第終了 |
営業時間(土祝) | 11:00~15:00(売切れ次第終了) |
定休日 | 水曜日・日曜日 |
最寄駅 | 門前仲町駅、清澄白河駅 |