- 2017/04/10:更新
- 2016/04/18:初公開
「もっと早くから足を運んでいれば良かった…」
そんなことを考えながら名物の煮込み豆腐だ何だを口にするの、もう何回目……いや、何十回目なんだろう。
連日国内外から多くの観光客が訪れる谷根千(東京の大人気散策エリア「谷中・根津・千駄木」の各頭文字を取った略語)において、1952年(昭和27年)創業と約70年の歴史を誇る老舗「にしきや」。
日暮里駅前の談話室「ニュートーキョー」を冒険の最初に立ち寄る“ルイーダの酒場”と仮定するなら、「にしきや」は谷根千散策の締めくくりにピッタリのお店と言えるでしょう。
ムダに多い写真とともに千駄木の老舗「にしきや」の魅力をご紹介!
東京メトロ・千駄木駅徒歩1分。不忍通り沿いに店を構えて半世紀超えの老舗居酒屋「にしきや」
親子3代で続く家族経営の飲食店
季節によってフレンドリーなのぼり旗が登場しますが、基本的に小料理屋を彷彿とさせる外観。(ふぐ料理は冬季限定メニュー)
だからそんなお店はきっとお高いと決め込み、「ここは金銭的に余裕の無いおれの来る場所じゃない」と独り勝手に遠ざけていましたが、幾年月を経ていざ踏み込んでみたらこれがまた想像以上に良くって、それまでの穴を埋めるがごとく通いまくっておりますと。
お通し無料、一瞬水割りと勘違いしちゃった焼酎ロック。
暖簾右横の覗き窓。常連客でにぎわいを見せる店内に怖気づいて踵を返す方々もいるかもしれませんが、いざ飛び込んでみるとね、それも杞憂に過ぎなかった、むしろ温かい居心地がそこに。
会社帰りのサラリーマンに学生、いかにも近所から来ました的な地元民、時には外国人まで来店する老若男女と国籍も問わない活気あふれる空間。
家族経営と努力のなせる業、良心的価格の品々
駅徒歩1分でもありがたいのにリーズナブル。ダブルでありがたい。
この他にもその時ならではのメニューが壁にたくさん貼り出されており、眺めているだけでも飽きが来ないってもんですよ。
2015年お盆以降は全席禁煙化!老舗にしては珍しい英断に踏み切った「にしきや」
店主と息子さんを中心に飾らない接客でお出迎え。
料亭というよりは街の飲み屋さん的内装は、カウンター8席、2名掛けテーブル1卓、4名掛けテーブル3卓、奥と2階に座敷席ありとなかなかのキャパシティ。
昔ながらの居酒屋だと卓上に灰皿設置は当たり前、何ならおしぼりと一緒に持って来てくれたりもしますが、「にしきや」では全席禁煙を断行。この手のお店で喫煙不可にするのって相当勇気のいる決断だったと察しますが、時代のニーズもしっかり取り入れる姿勢は個人的に高評価。
千駄木「にしきや」で楽しむ四季折々旬の料理
食べたいものを、食べたいタイミングでごゆるりと
春は上り鰹でサッパリと、秋は戻り鰹でモチッとした食感のカツオ刺し。タタキにするしないを注文時に指定。写真はタタキバージョン。
しっかりとしたその身をおろしたてのニンニクやらショウガだでいただきますとね、もう獣肉なんて口にしなくても良いんじゃないかと錯覚してしまう、そんな不思議。
タタキじゃない方のカツオ刺しもまた旨し。
季節が秋ならアブラ乗りまくりなアジの刺身も定番の一品。
冬なら寒ブリ刺しで自分自身がブリブリって震えるのも捨てがたい。
ブリ大根を前に久しブリってほくそ笑みながら食べるのだってきっと良い、ハズ。
見るからに新鮮なキュウリと分かるもろきゅう。
梅きゅうのペーストは1度にたくさん口にすると口がきゅうってなる。
口直しにきぬかつぎで何となくげんかつぎ。
ぷっくり丸々と太った本ししゃも。
スーパーなどでよく見かけるカラフトシシャモ(英名:カペリン)と呼ばれる輸入魚と異なり、見た目も味もまったく異なる本ししゃもがさり気なく堪能できる歓び。歩き疲れた足のことなんて忘れてしまうかもしれません。
どのメニューを頼んでもハズレが無い安心感
メニューに50年の味と記された煮込みは豆腐入りをチョイス。
豆腐なしと豆腐入り。どちらにするかはお好みで。
臭みの無いモツをしっかりたっぷり摂取できます。
若鶏、川海老の各唐揚げも忘れずにチョイスしておきたいところ。
秋から冬にかけてのカキフライも外せない一皿。
ハフハフと、揚げ出し豆腐。
2尾の海老が嬉しい天ぷら盛合せ。
山菜天ぷらも見逃せない美味しさ。
いずれもケレン味の無い丁寧な仕事が感じられ、ちょっくらかしこまったりしちゃうかもですが、
そんな時こそ、こちらのジャガ千炒めでワンクッション。
注文を受けてからジャガイモを千切りにするところから始める。当たり前なんだけどね、でもその当たり前を拝むのが妙に心地良いし、バターが効いたジャンクな気配漂うそれは、おかず、酒のお供のどちらでもイケます。
ちなみにジャガ千ってネーミングは谷根千から来ていることは想像にかたくありませんが、谷根千って言葉自体は30年以上前から使われていること、あと、谷根千を東京の下町に位置づけるケースをよく見かけますが、歴史を紐解くと決して下町じゃないことが分かります。分かるんですが、この記事でそれを解説すると単に飲み屋によくいるうんちくオヤジと変わりないのでまたの機会に披露したいと思います。(こんな記事を書いている、いや、こんなブログやっている時点で充分うんちくオヤジだってツッコミは無しの方向で)
ホックホクのフライドポテトもあなどれません。
専門店じゃないと、いかにも冷凍物を揚げました的なパターンに遭遇することも少なくありませんが、バッチリ手作りな仕上がりに地味にホッコリ、イモもホッコリ。揚げたてを口にすればテンションもだだ上がるというもの。
1本から注文可能な焼き鳥。タレ・塩両方の味付けに対応。
家族ならではなチームプレーの妙が光るし、鶏皮串を食べるおれの口元もテカテカ光る、そんな感じ。
毎年11月頃からいただけるふぐ料理の数々
ふぐの煮こごり。
ふぐの白子ポン酢。
ふぐの刺身。
ふぐの唐揚げ。
そして、ふぐちり鍋!1人前でこのボリューム。
ちなみに寄せ鍋も1人前でこの量!ついおれも寄り添いたくなった。
例えば2名で訪れたからって自動的に2人前からとせず、とりあえず1人前で様子見て、足りなかったら追加のスタイルを推奨してくれるのってありがたいですよね。
鍋だけでお腹いっぱいにならないから、鍋以外のメニューも気負わず楽しめるってもんです。
ふぐの切り身と昆布、時間差で各種具材を無造作にダイブ。
雑炊はセルフで作ることもお願いして作ってもらうことも可。
好みのタイミングでふぐひれ酒もチビリチビリ。
着火に失敗しまくったマッチの数は夢の跡、なんてな。
〆のお食事系。イチ押しは梅茶漬け!
小腹が空いた時とかに出てくると嬉しいタイプの焼きうどん。
名作漫画「SLAM DUNK」で主人公・桜木花道達の勉強合宿でヒロインの晴子さんが夜中に作ってくれた焼きうどんってきっとこんな感じなのかもしれないな。家庭的な味付け。
つまみとしてもいただけるよう短くカットされた焼きそば。
和食であるべきところはしっかりとその流れを踏襲し、でも、先に紹介したジャガ千炒めだとかに感じる遊び心やギャップなんかがたまらないんだな。
お茶漬けは、梅・鮭・昆布・海苔の4種類から選択。おすすめは写真の梅茶漬けで、梅干しも1個とケチらずに2個入り。
雑味の無いクリアなクオリティに添えられる適度な酸味は酔い覚ましにピッタリだし、煮こごりやら鍋メニューあたりで覚える出汁の旨さを存分に満喫できちゃう。
数ある〆のお食事の中でも今のところ梅茶漬けが1番好きですね。ほぼ毎回頼んじゃう。
千駄木駅から帰るも良し、夜散歩と称して谷中や根津を通り抜けて帰るも良し
何があるってワケじゃないけれど、昼より夜の谷中銀座が妙に好き。
日中の大混雑と打って変わり、お店も閉まる時間帯に闊歩するのも乙なもの。ほとんどのお店が木製看板をでーんと掲げるのはある種のルールなのかな?とかって考えたりしながら日暮里駅までの道のりを歩いてみるのも面白いですし、
時期が噛み合えば根津駅までの道のりで「高速イルミネーション」を拝んでみたり。
お店を後にする際に吹く気持ちの良い夜風に導かれるように、日暮里やら根津の各駅までブラブラ歩いて電車に乗ることが実に多く、それってきっとステキなお店でステキなひと時を過ごせたからなのかもなーなんて思ったりもするんですよね。
カウンター席で1人酒を決める、気心の知れた仲間たちと訪問する、何ならお座敷で宴会を催すのだって当然楽しい。
千駄木の粋な居酒屋「にしきや」、機会があればぜひ足を運んでみてください!
顔がブスー。観光客の多さに辟易しちゃったかもな谷中の地域猫。
店舗情報
店名 | にしきや |
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住所 | 東京都文京区千駄木3-34-7(地図) |
電話番号 | 03-3828-0935 |
営業時間 | 17:30~23:00 |
定休日 | 日曜日・祝日 |
最寄駅 | 千駄木駅、日暮里駅 |