食材を ダブらせ続け 20年(字余り)
ドラマ版は来月よりSeason5突入、当ブログでおなじみの漫画版に至っては今月29日に18年ぶりの新巻が発売予定と、まさに順風満帆、飛ぶ鳥を落としてその丸焼きと卵かけご飯あたりで「とりがダブってしまった」とかってほざいてそうな名作「孤独のグルメ」。
昨年から出るぞ出るぞと言われ続けてきた単行本も、こうして攻めっぽい表紙を見ると、ああホントに出るんだなーと実感しますね。
で、今回はそんな新巻に収録予定のお話から…ではなく、新しいものを迎え入れる前に原点を振り返りましょうよということで、単行本1巻第9話「神奈川県藤沢市江ノ島の江ノ島丼」でおなじみの「魚見亭」にて、いっちょさざえをダブらせて参りましたのでご報告いたします。
江ノ島電鉄江ノ島駅&小田急線片瀬江の島駅からともに徒歩15分。創業140年を数える老舗のお食事処「魚見亭」
恋人たちの聖地とも呼ばれる江ノ島の最寄駅で最初に遭遇したのは、めちゃくちゃ喧嘩しているカップルでした。
2人に何があったのかまでは知りませんが、女性のガチな腕組みっぷりから何となく険悪なムードが伝わることでしょうし、恋人たちとの聖地じゃなくてゴローちゃん(「孤独のグルメ」主人公・井之頭五郎の愛称)との聖地に来てよかったとしみじみ思いました。
なお、江ノ島だとかについては先日書いた関連記事をご覧いただくとしまして、もう目的地の「魚見亭」前にワープしちゃいましょうワー
プ完了、と。
道中アホみたいに撮影しまくったこともあり、ねっとり1時間以上も費やして「魚見亭」にたどり着いたワケですが、普通のペースで歩けば最寄駅から大体15分くらい。程よい散歩タイムを過ごしつつ向かえちゃうぞって感じなんですかね。
豊富な写真に英語表記と充実のメニュー!…しまった…そうか、江ノ島丼とさざえの壷焼きでさざえをダブらせにくくなっちゃったぞ
どこかのタイミングで刷新したんでしょうね、実に分かりやすい。
ゴローちゃんが訪れたとされる1995年頃は簡素なメニュー。
だからよく分からず丼ぶりと壷焼き頼んでドツボにハマる的な展開もやりやすかったことでしょう。
がしかし、懇切丁寧な内容を目の当たりにしますとね、
まともに教育を受けてきた人間であればまずダブらせないと思うワケですよ。少なくとも江ノ島丼か壷焼きのどちらかでサザエはもう満足ってなるんじゃないかと。
気心の知れた間柄ならキャッキャウフフンガッフッフとシェアして両方の味をサササと楽しめちゃうんでしょうが、「結婚同様 店なんかヘタにもつと守るものが増えそうで人生が重たくなる。男は基本的に体ひとつでいたい」なるゴロー's スピリットにのっとりたくないけどのっとっちゃっている身からすると、独りで同時注文するのはハードルが高いぞと、こういうワケでございます。
とりあえずビールで紛らわせることに
グビグビからのプハー。ダブらせる使命を忘れた瞬間です。
その日の朝に獲れたという生しらすをつまみに。
少し離れたところから聞こえるおばちゃんの呼び込み時とそうじゃない時との音程差にある種のたくましさなんてものを覚えつつ、そういったギャップなんかも洗い流すようにグビプハムニュニュン。
単体客には「いらっしゃいませ」、団体客には「お疲れ様でした」と言葉を使い分けているあたりに、何というか観光地の食事処って感じも。カップルは問答無用に、夫婦は思案の果てにテラス席を選択する光景も実に興味深く。
全席オーシャンビュー、その全席とやらも創業にちなんでなのか140席あるらしいからね。実に大型店。
絶海に臨むテラス席のみ喫煙可。吸い心地抜群なんだろなー…
からの、ふと我に返った上でのさざえの壷焼き
せっかくゆったり過ごせそうな空間にいるんだから、そう、時間差でダブらせればいいじゃんと。
人類で初めてさざえ食った人って尊敬するわー。素直にそう感じさせる独特のフォルム。
大判小判がザックザクの要領で、意外と多くの中身とめぐり逢い。
大抵のみんなはあんなことやこんなことでキャーキャー盛り上がっている最中、ある意味“孤独のグルメ”と自称してもいいくらいにおれはさざえと真剣勝負。
お箸でズボンドズボンとほじくりまくっては海の幸を満喫。
サザエでございま~す!ばりに、何だか見ちゃいけないものまでズボッとめぐり遭い。
…そして何事もなかったかのように完食。
小上がり席なら確実にバクスイしていたことでしょう。
メシ時を外したこともあってか、特に急かされることもなく、それはそれは何ともマイペースにのびのびとした時間を過ごせたし、思わずさざえをダブらせることなんかどうでもよくなりつつこのまま会計して帰っちゃおうかなーとも思いましたが、
スキを見て頼んでおいた「魚見亭」の“江ノ島丼 かにの味噌汁付”が着丼することで、さざえの時間差ダブリを実現
相変わらず今回も凄まじい再現度の高さ。
最近のストーリーだと世間にもたらす影響力を考慮してなのか、各料理に対する感想が幾分まろやかになっている気はしますが、90年代だとなかなかストレートなのも味わい深いもんがありますね。
親子丼と見間違えそうなビジュアルともとれますが、
ぶつ切りさざえと甘めの卵でとじられた濃い味付け。なるほど、だから味噌汁は薄味、薄く感じちゃうのねと独り勝手に納得しつつ、コリコリのさざえと白米をつなぎ合わせる卵の役割って偉大だよなと。
コリコリッと。
ゴローちゃんはしまったとのことですが、間を空けて頼む分には何にもしまったことなんてございません。
「魚見亭」の江ノ島丼は、単品、普通の味噌汁付、かに入りの3段階制で、最上級だとかに処理用にウェットティッシュが付いてきます。
ほぼ原型を留めることのない完食。
この日はそこまで天候が優れずまあまあだったけど、次回は晴天のテラス席にてステキな写真を収めたいものです。
また、10代と思しき女性スタッフいわく、澄み切った冬の海がおすすめなんだそうで、「よしボトルキープならぬキミをキープ」だなんてほざいているからこんなブログを懲りずに10年もやっているんでしょうね、それを耳にした瞬間、あえてシーズンオフの江ノ島を舞台にした作者の狙いとやらを垣間見た、そんな気がします。
店舗情報
店名 | 江ノ島 魚見亭 |
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住所 | 神奈川県藤沢市江ノ島2-5-7(地図) |
電話番号 | 0466-22-4456 |
営業時間 | 10:00~日没後30分(季節により変動あり) |
定休日 | - |
最寄駅 | 片瀬江ノ島駅、江ノ島駅 |