熟練の技が光る、秋田の夏季限定ご当地グルメ・ババヘラアイス。
世界的に見て日本の国土は取るに足らない狭さと言えますが、その代わり深い。そしてそう実感する、思わず唸ってしまうのがその土地ならではの食べ物だったり文化に触れる瞬間。
秋田県ではさも当たり前のように受け入れられていても県外民からするとついつい「わおお」と声を上げちゃう瞬間のひとつ、ズバリ、ババヘラアイスの露天商と遭遇した時なんじゃないでしょうか。
派手なビーチパラソルとオバちゃんが目印!秋田の主要国道・県道沿いでお目にかかれるらしい「ババヘラアイス」の屋台
「ババヘラアイス 発祥の地 ババさんアイス」
何だか長いネーミングですが、ババヘラを取り扱う業者が元祖とされる「児玉冷菓」以外にも複数存在しまして権利上の理由なんかもあり、かつ“販売しているおばあさん達に親しみを持ってもらえるように”と3代目社長が「ババさんアイス」と名付けたのだそう。
イベント事に合わせて秋田県の各地を転々とされているご様子。
なので、今日はいたのに明日はいない、こんな場所にいないと思っていたら実はいました的なことが意外とあるそう。
「自分達で目星をつけて移動したり販売しているんですか?」の問いかけに「車で連れられて、降ろされた場所で夕方ぐらいまで販売し、お迎えが来たら終了なんですよ」とフレンドリーに答えてくれたおばあちゃんでしたが、おばあちゃんの口から“お迎え”ってキーワードを耳にするとそれはそれで荘厳な雰囲気に包まれるから不思議です。
注文を受けると金属製のヘラでコーンにバナナ味とイチゴ味、2種類のアイスをバランスよく盛り付けると完成なんですが、
オバちゃん達の中には高度な技術が必要とされるバラ盛りのスキルを有する名人級の方々が存在し、今回出会ったおばちゃんもそのうちの1人なのでした。
「なわけねーよ」と秋田県民の皆々様から体中の穴という穴にアイスを塗りたくられるかヘラそのものを突っ込まれそうな気がしなくもありませんが、ババヘラアイスの屋台をメタルスライムとするなら、元祖・児玉冷菓の屋台ははぐれメタルで、さらにその中でもバラ盛りができるオバちゃんはさながらメタルキングばりのレアっぷりって感じなんですかね?
鮮やかすぎる見事なバラ盛り!「児玉冷菓」お手製のババさんアイス(1個200円)
こんなん子供じゃなくても喜ぶよ!年甲斐もなくはしゃぐおれ。
と同時に、ツートンカラーといえば、これまた秋田県内では有名すぎる「アベックトースト」も赤と黄のツートンカラーだったよなーと振り返ってみたり。
バナナアイスをベースに、その周囲を固めるようにイチゴアイスを。
自己流とのことですが、バナナもイチゴもともにシャーベット状だから、カッチカチのアイスを盛り付けるのよりも難しいハズ。
とてつもない直射日光が照りつけ、瞬く間に溶け始めるアイス。
農閑期の農家女性を雇い入れたことも現在の販売スタイルを確立するキッカケとなっているそうですが、突き詰めるとご当地銘菓にまで発展するもんなんだなー。しみじみと、パクリ。
「溶けるからお早めに」と手渡されたアイスは口どけなめらか、素朴な味わいが童心返りを難なく実現してくれて、
おばあちゃんの知恵袋に代表されるように、そういえばガキンチョの頃、おばあちゃんってお父さんやお母さんにはない妙なスゴさがあったよなーと感慨にふけってみたり。
コーンのパサッとした食感、バナナアイスで潤う喉元。
揺るぎない土台、おばあちゃんの人生を表すかのように盤石。
バラ盛りに包み紙までもがバラ、ちょっとしたお土産感覚。
おばあちゃん家に遊びに行った時に出してくれた冷たいお菓子だ飲み物だの記憶に寄り添うような気がしたからたまらないのかもな。
40代以上の女性がメインで販売員を務めるそうですが、中には女子高生(やオバちゃんと呼ぶにはまだ若い)売り子のギャルヘラ(ネネヘラ、またはアネヘラ)アイスだなんておれ得すぎる神展開もあるそうで、秋田・夏巡りのひとつに取り入れてみるのも乙かもしれません。