- 2017/02/15:更新
- 2014/11/24:初公開
「Part1」は想像以上に多くの皆さまに読んでいただけたようでして、意外な反響の多さにまるで夢でも見ているかのよう……
「俺は……夢でも見ているようだ…」
と、ちなみにこのセリフも校正前は微妙に異なる言い回しなのでした。(上:PANJA版、下:単行本版)
それで、需要があるならじゃあ今回もということで、前回紹介したセリフほどメジャーじゃないものの「孤独のグルメ」を語る上で避けては通れなさそうな雰囲気のモノをアレコレピックアップしてみましたよっと。
しかし結局、この店で食う客ってのは、ほとんど飲みまくってるんだな
第01話@PANJA1994年10月号93P掲載
左:PANJA版、右:単行本版。
東京都台東区山谷エリアの定食屋で飲み食いするお客さん達に対する心の声なんですが、「飲みまくってる」を「飯より酒の客」とすることで幾分オブラートで包み込まれたかのような印象に。
なお、モデルとなった「きぬ川」に井之頭五郎フィギュアと乗り込み色々とダブらせた身としましては、申し訳ないことにお客さんの大半は早朝から飲みまくっているし何かと近寄りがたい、ガチで聖地の部類に属するお店とオブラートに包まず断言しておきます。
「ぶた肉ととん汁でぶたがダブってしまった」や「俺は腹が減っているだけなんだ」だとかの迷言名言オンパレードって意味でも記念すべき第1話ではありますが、「不思議の国のアリス」ならぬ「山谷のドヤのゴロー」という、良いスーツに身を包んだ中年男性が日本3大ドヤ街の1つに迷い込むことで生じるギャップだとかをチラつかせているんでしょうね。
【参考】聖地巡礼レポはこちら
それとも何事もなかったように、いつも通り食べるのだろうか
第02話@PANJA1994年11月号94P掲載
左:PANJA版、右:単行本版。
「孤独のグルメ」史上最も悪どい表情と言っても過言ではないでしょうし、サスペンスやサイコホラー系の漫画?って勘違いされるかもしれませんが、なんてことのない、単なる街の回転寿司屋で遅いランチを済ませた後の含み笑いですからね。
ただ、「家族はこんなオカアサンを全然知らないのかもしれない」と改変することである種ミステリアスな空気を漂わせ、このまま煙とともにドロンしてもおかしくない気がしなくもありません。
で、モデルとなった「天下寿司 吉祥寺店」も改変ならぬ改装されたのか、板さんにこれでもかと声が届きまくってむしろスースーするほど清々しくも快適なランチタイムを過ごせましたので、皆さまにおかれましては注文ではなく訪問するタイミングをズラして足を運んでみてはいかがでしょうか。
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今はとても……もう食えない
第08話@PANJA1995年5月号76P掲載
左:PANJA版、右:単行本版。
川崎セメント通りの焼肉店で真っ昼間からたらふく食べた後に近くの堀之内ソープ街を目にして出てきた一言。何がもう食えないかはちょっと頭が回らないのでコメントを差し控えさせていただきますが、ゴローちゃんってばこの回では「俺はまるで人間火力発電所か…」だ「焼き肉といったら白い飯だろう」と比較的おとなしめだったのに、最後の最後でヤッてくれましたよと。
本能を刺激され、人間火力発電所と化した井之頭五郎。焼き肉の塊ではちきれんばかりに胃を火照らせ、いざ商売(ビジネス)へ!
柱コメントも主人公の発言をうやむやにしているかのようにとらえられなくもありませんが、この最終ページ左側にA4サイズで堂々と「ただいま恋人無料紹介実施中!」の広告が掲載されている時点で「これアカンやつや」とほくそ笑んだのはここだけの話にしておきます。
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やっぱり寄り道はしてみるもんだな
第09話@PANJA1995年6月号74P掲載
上:PANJA版、下:単行本版。
全席オーシャンビューな江ノ島の食事処にて海を見ながらのつぶやき。「さえない思い出の脇役にピッタリかもしれん」に置き換わることで言い回しもさえないからさえたに生まれ変わったかもしれん。先ほどの「今はとても……もう食えない」発言を丸ごと空気清浄機にかけたらこうなったくらいに清々しくも淡いセリフですね。
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なんだろう この感じ……
第11話@PANJA1995年8月号81P掲載
左:PANJA版、右:単行本版。
みんな大好き?「うん!これこれ!」からの「…って なにが『これ』なんだろう…」も掲載当初は「うん!うまい」からの「なんだろう この感じ……」とあまりに普通すぎる内容で、これはもう神修正の1つに加えても決して差し支えないですよね!
モデルとなった石神井公園の休憩所「豊島屋」はふらり訪れたい場所。カレー丼とおでん以外にも気になるメニューがちらほらありますので、チェリオ以外の飲み物でグビリと合わせたいところであります。
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ア ハハ スイマセン
第12話@PANJA1995年9月号69P掲載
左:PANJA版、右:単行本版。
暴力店長に理不尽な扱いを受けつつも、それでも謝ろうとした際に出たスイマセンも、前に「ア ハハ」がつくと「
LA・LA・LA LOVE SONG」のラララばりにライトなとらえられ方をしてしまう危険性がなくもありません。(すごく無理やり)
呉さんに関してはこれ以外にもアームロックで月ならぬ呉に代わっておしおきよ!なゴローちゃんを「そこまで!」と制止したことからも、実は「孤独のグルメ」史上最強キャラなんじゃないかと独り勝手に夢見ている次第です。
【参考】聖地巡礼レポはこちら
暑くて熱くて辛くて…味がよくわからない
第13話@PANJA1995年10月号71P掲載
左:PANJA版、右:単行本版。
ただでさえ暑い真夏、それも炎天下に熱いカレーを平らげようものなら味もわからなくなるってもんですが、「なにも」が加わるだけでより真実味が増しますね。
とはいえ、実際のカレーは決して激辛とかそういった類いのものではなく、おこちゃまにはちょっと辛いかもだけど、おとなもこどももおねーさんも安心して口にできる仕上がりでしたけどね。
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ああ…食いたい
第14話@PANJA1995年12月号70P掲載
上:PANJA版、下:単行本版。
銀座で思い出のハヤシライスに思いを馳せる。シンプルに「食いたい」でもダイレクトに伝わるんですが、「ツバが出てきた」だとリアル感が増すというか、何でもかんでも美味しいだの食いたいだのと主観的に連呼しているだけだとかえって何が本当に美味しいか訴求できなくなっちゃうよと、曲がりなりにもグルメブロガーとしての肩書きらしきものを所持する身としては安易すぎる表現は気をつけないとなーと痛感した1コマでもあります。
左:PANJA版、右:単行本版。
結局のところハヤシライスをあきらめ豪快にステーキをがっつくことで腹を満たしたゴローちゃんなんですが、その店も大人の事情で先日閉店してしまい、そうなってくるとタイトルも「第14話 東京都中央区銀座のハヤシライス(の消滅)とビーフステーキ(の消滅)」が正しく、消滅と消滅で消滅がダブってしまったワケですが、修正前の最後の1コマがダブル消滅を物語っているかのようにも受け取れてジョジョじゃなくても奇妙な冒険といったところでしょうか。
幾度の修正を経て原作者の本領とやらがいかんなく発揮された感じ
1981年に泉春紀氏とコンビを組み泉昌之名義でガロデビューを果たした久住昌之氏なんですが、彼らのデビュー作「夜行」の時点で「それなんて『孤独のグルメ』?」状態ですからね、そこを認識しておくだけでも2度に渡ってお届けしたセリフ違いもごくごく自然なものと受け入れられてしまう説得力があります。