- 2017/01/21:更新
- 2014/07/07:初公開
見て美味しい&食べて美味しいを和菓子のモットーとするなら、東京だとこのお店を忘れることなかれ!
とことん手作りにこだわり1日限定50食を謳う気鋭のあんみつ専門店・向島「深緑堂」の、口の中で異なる食材同士が絡み合ってセック…すばらしい逸品を紹介いたします。
1日50食限定!最寄駅から10分以上歩くのに完売早じまいする日もある東京・向島のあんみつ専門店「深緑堂」
2014年3月22日創業。店名にあやかり緑地に白文字の暖簾とテントがちょっと新鮮。
周辺は落ち着いた生活が営めそうな雰囲気。
地表から顔を出すタケノコばりにニョキニョキな東京スカイツリーも程近く。
お店の場所は国道6号・向島三丁目交差点のすぐ近く…
という説明で分かる方には分かるんでしょうが、正直とうきょうスカイツリー駅が最寄とはいえ、偶然ふらっと訪れるのは厳しそうな感はあります。
1/3 本日は完売となりましたので早めに閉店させていただきます。どうもありがとうございました。また明日も営業いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
— あんみつの深緑堂 (@shinryokudo) 2017年1月3日
それでもこんな風に予約完売する日もあったりと、口コミだとかを通じてその存在と実力が認知されてきているご様子。
ご主人1人で切り盛り、10席のみのこじんまりとした店内
カウンター6席、縦に並ぶ2名掛けテーブル2卓の計10席。
某有名甘味処出身の店主が「本当に美味しいあんみつ」を追い求めた末に独立開業されたのが始まりで、小物使いだとかは和カフェに近く、若い感性が積極的に取り入れられている印象です。
店内にディスプレイされている瓶に入った黒蜜と「一保堂」の茶缶。
創業当初はあんみつ(600円)とアイス付きのクリームあんみつ(750円)の2種類でしたが、現在ではところてんやらおしるこ、それらの良いとこどりセットに夏季限定のかき氷などがラインナップ。
京都の老舗日本茶専門店「一保堂」のほうじ茶をグビビングビビンしながら待ちます。
印象的だったのがキッチンタイマーの音が複数回鳴り響いたこと。
「せわしないぞ!」と一蹴したいんじゃなくむしろその逆。出来合いの物を用意すれば誰でも簡単に作れてしまうであろうあんみつ1つとっても、仕込みはもちろん注文を受けてから出すまでの過程もこだわればこだわるほど美味しくなることを証明しているかのようで、不思議と「食べる前から忘れられない味になりそう」だなんて妙に期待高まる瞬間なのでした、ってグビグビ茶の時点ですでにうめえ!
そんじょそこらのあんみつにはない個性がキラリ。向島「深緑堂」の絶品クリームあんみつ
黒蜜はもとよりアイスまでもが別皿での提供。
トプトプトプーとアンコだ寒天だに蜜とアイスがかけられた状態でいただくクリームあんみつもそりゃ乙なもんだけど、これはこれでそそる見た目。
寒天、えんどう豆、アンコのレギュラー陣に加え、茹でたての白玉、アンズ、クルミ、赤スグリなど彩りも豊か。
柔らかいと言えば求肥ですが「深緑堂」では白玉を採用。
何でも求肥作りは物凄く膨大な手間がかかるそうで、注文後茹で始める白玉なら手作りをキープしつつモチモチ感も演出できる……あくまで手作りを至上とし、既製品を使わずにこなして行きたいがゆえのエピソードってヤツですね。
求肥ならではの何とも言えない食感も捨てがたいもんはありますが、この場合だと「注文を受けてから」の付加価値が備わる点は見逃せないですし、ホントモッチモチで柔らかな白玉なんだなーこれが。
神津島産・新島産・伊豆稲取産と3種類のテングサを配合した自家製の寒天。
「今まで食べてきた寒天って何だったんだろー」と、ハッとしてグッドな質感と風味と独特の清涼感。これはちょっとところてんもいただいてみたくなる方も多いんじゃないでしょうか。
茹で小豆を竹ざると馬毛のこし器で濾す、昔ながらの製法で作られたアンコ。
いわゆるひとつの余計な味のしない至高っぷりで、
寒天につけて食べたら相乗効果を発揮しそうな気もしましたし、
どかんとやってのけたのがこちらの絵となります。
先日気ままにサイクリングを楽しんで来た日本最南端の波照間島と西表島の黒糖をブレンドして仕上げた黒蜜。いくらかの塩気を残しつつ、濃厚なんだけど軽やかさも失われていない、直接そのまま飲んでも大丈夫なんじゃないかとつい勘違いしたくなるクオリティ。
唯一買い付けのアイスにしたってきちんとした選定基準を設けているようで、黒蜜とは異なるアプローチで素材同士をしっかりつなぎ、それでいて邪魔し過ぎることのない素朴な牛乳タイプなのもナイス。
「良い!すっごく良い」とエロカメラマンばりの感想をもらしたりなんかして。
単体で口にしてもどれもハズレなしだから、当然合わされば2倍、3倍…と跳ね上がるワケですよ。
で、個人的に大ヒット過ぎたのがアンズなワケでして、
希少な長野県産ドライアンズを使っているとのことですが、単純にドライとは思えないほどにぷっくりとしていて、噛めばそれこそついさっきまで実の状態でぶら下がっていたんじゃないかと錯覚を起こすレベル。とてもじゃないけどドライに対応なんてできやしない。
アンズは好きな果物の1つで、普段口にする機会が多いだけにかえってその違いがハッキリするっていうのかな、追加料金払っても良いからついついアンズ増ししたくなるもんね。
寒い時期だと温かい小しるこもいただけるしるあんセット(1,000円)も人気。(バニラアイスは個人的に追加)
あんみつの美味しさはこれまで述べたとおりですが、
ご覧のおしるこもまた良い感じなんですわ。
思わずあんみつ用のアイスをおしるこに入れ温冷楽しんで御礼って食べ方がしてみたくなりますもんね!
と、そんなこんなで言わずもがな完食。食後にもほうじ茶をグビリグビリと、いつも大満足のままお店を後にするのでした。
これからも流されることなく貫き通して欲しい手作りスタイル
いっそ貫きまくってスカイツリーばりに東京の名店としてそびえ立って欲しい。
あんみつとところてんはお土産にも最適。結構喜ばれるんじゃないかと思いますし、電話での予約取り置きも可能とのこと。
何でもかんでも便利だの効率化だのが叫ばれる世の中だからこそ、今後もストイックなまでに手作りにこだわり続けて欲しいですし、いつの日か「東京に深緑堂あり」と多くの方々に言わしめる、そんなサクセスストーリーが実現すると良いですね。