- 2017/02/19:更新
- 2013/11/10:初公開
手の込んだ自家製チャーシューをはじめ非の打ち所がない仕上がり!方南町「中華蕎麦 蘭鋳」の味玉そば。
近所にあったら足繁く通いたい。近所になくてもスキを見つけては通いたい!もう好き過ぎてたまらないお店の1つ、東京・方南町の「中華蕎麦 蘭鋳」をご紹介……
って、タイトルですでに語っているようなもんですが、ここのラーメン、東京で最も好きな醤油ラーメンと言っても過言ではないかもしれません。
東京メトロ丸ノ内線・方南町駅徒歩10分、平成オープンなのに昭和レトロという言葉がふさわしい佇まいの「中華蕎麦 蘭鋳」
バスだと堀ノ内二丁目停留所が最寄で、そちらだと徒歩1分。
ツルの絡まり具合とか季節的なもんもあるんでしょうけど、2010年7月創業と約7年ほどの経過にも関わらず、もう何十年とこの地この場所に存在しているかのような老舗感。
多くの交通量でおなじみの環七通り沿いで、環七を挟んで真向かいあたりに神秘的な建物があったりするものの、
それでも店の周りにはマイペースな空気が流れております。
開閉に少々コツがいりそうな引き戸。まるで昭和の駄菓子屋さんにでも足を踏み入れたかのような錯覚を抱きつつも、お店前には行列ができていることもしばしば。先客の所作に従って入店しましょう。
L字型カウンター8席のみ、温かみのある内装
調味料や縦置きのティッシュなど、配置とセレクトにも垣間見えるこだわり。
裸電球だけど白熱灯。ほっこりとした気持ちになります。
BGMがラジオなのも拍車をかけると言いますか、同じ杉並区内の「西荻窪・はつね」やら「阿佐ヶ谷・いろはや」もそうだけど、落ち着いた雰囲気とラジオって鉄板の組み合わせですよねー。
前金制。基本メニューは中華そば、味玉そばと至ってシンプル
オープンしてしばらくはいわゆるチャーシューメンや味玉チャーシューメンも取り扱っていましたが、原材料高騰を理由に麺メニューは上記2品に縮小。
仕入れ値が高くなったら売価を釣り上げメニュー維持するお店ってよくありますが、高級金魚の代名詞を店名にあしらっているのに、あしらっているからこそ、安易に値上げで対応しない「蘭鋳」の姿勢には高い意識とやらが漂っている気がします。ある意味高級、か。
店名で「蘭鋳」を表現するセンスの高さも地味に見逃せません。
口頭注文で、券売機なしの前金制。お金はカウンター上の金属製小皿にそっと置きます。そしてラーメン提供と引き換えに精算が行われる、そんな感じ。焦らず落ち着いてこなしましょう。
独学で作り上げたハイレベルな味わいの煮干し醤油ラーメン。方南町「中華蕎麦 蘭鋳」の味玉そば
写真は大盛り(+100円)にしているので1杯1,000円。
前述の「西荻窪・はつね」同様ついつい大盛りを頼んじゃう、頼みたくなるのが「蘭鋳」の中華そばシリーズ。
ピンクの断面が特徴的な豚チャーシュー、海苔、味付玉子にちょこんと刻みネギ。丼ぶり内側を伝うように穂先メンマをトッピング。
大きめにスライスされたスモーキーなチャーシューは、普段外でラーメンを食べ歩かない方にはもちろんのこと、食べまくっている方にだって鮮烈な印象をもたらすことでしょう。
初めに赤身全開のをパクリ、麺やスープを楽しみつつパクリ…スープに沈めて熱が加わったところをもうひとパクリ……。
1杯で異なる艶めかしさ、完熟に至るまでの過程が楽しめ、そうそれはまさに少女…我ながら気持ち悪いので止めますが、しみじみ旨いと思える1枚なのです。
毎回拝む度についウットリしてしまうんですよこれが。
風味維持のため、注文を受けてからチャーシューを切る店は多くなりましたが、表面に無数の包丁も入れるから、適度な歯応えを残しつつもどこからだって噛み切れちゃう。一言で、逸品なのです。
煮干しラーメン特有の銀粉が浮くスープは多少のクセを感じさせる仕上がりだけど、そのクセが良い意味で余韻となり、ズズズ、ズズズと何度もレンゲですくって飲みたくなるんでズズズ。
煮干し醤油味と言えば、「王子・伊藤」を筆頭に尋常じゃない煮干し量を使用したど濃厚魚介テイストが主流とも言えますが、「蘭鋳」のそれは醤油っ気が控えめなこともあり、素朴なんだけどこだわりが感じられる絶妙な按配のスープも大好き、好物、フェイバリット!
固めに茹で上げた三河屋製麺のストレート細麺。スープをグイグイ引っ張り上げるし、並で150g、大盛り225gだから見た目以上に食べ応えも充分。
注文を受けてから雪平鍋に澄んだ豚骨スープ(清湯)と煮干し出汁を合わせて火にかける工程を大切にしているから、煮干しの芳醇なコクと香りも飛ぶことなく麺に絡みつき、ダイレクトに舌から喉、胃袋へと伝わる過程でしみじみ旨いと思えるのです。
黄身の分量多めな味玉はしっかりとした存在感の名脇役。
こちらは提供間もないタイミングで割った場合の断面。
いつ口にするかで変化する表情。先に取り上げたレアチャーシューと同じ要領で、最初に半分かじりしばらく経ってもう半かじりすると1回で2度美味しい体験とやらができるかもしれません。
寡黙な職人気質の店主だから言葉数少なめだけど、ストッパー付きの木製レンゲを採用していたりとさり気ない優しさが。
多分なんですが、店主が物凄い饒舌に立ち振る舞って、それこそ「麺入りまぁす!」とか「ごゆっくりどうぞ!」って声高に叫ぶタイプだとね、おれもここまでの文章量で語らないと思うんですよね。
必要最低限のコミュニケーションを通じてお客さんと向き合う。こちらも無駄口を叩かず紡ぎ出される1杯に真正面から立ち向かう。だからこうしてお店以外の場所やブログとかで自然と語りたくなっちゃうんだろうなー。
丼にも「蘭鋳」。毎回完食するので必ず拝みます。
【余談】通常より多く絶品チャーシューを食べる方法
それはビールと一緒につまみを頼むこと。
300円追加でこの至福はホントたまりませんて。。
ずっと長続きして欲しい東京の名店
2017年も早々にいただいちゃいました!
環七通り沿いとはいえ、最寄の方南町駅から10分は歩く辺鄙な場所なんだけれども、日によっては結構な行列ができる人気っぷり。
【お知らせ】誠に勝手ながらスープ切れの為、本日の営業を終了させて頂きます。またのご来店をお待ちしております。中華蕎麦 蘭鋳 #ramen
— 中華蕎麦 蘭鋳 (@ranchu0712) 2017年2月18日
よく営業時間の表記で「スープ無くなり次第終了」というのを見かけますが、「蘭鋳」の場合は本当にそう。土曜日の昼営業は本来15:00までなんですが、早いと13:00台前半の開店1時間ちょっとでご覧のような完売宣言が拝めちゃうんだから凄まじい。
しかもツイートの大半がこの手の売切れ告知。「中の人などいない、こいつはbotや」って疑いたくもなるんですが、実際にこれらのツイートが投稿された直後に到着して泣く泣く諦めた経験が2度ほどあるおれが伝えたいことは、食べたいって思うタイミングよりも相当早く着くようにしましょう。断言しておきます!
丼の「蘭鋳」に対して小鉢は「らんちう」。この緩急の付けっぷりも最高っす。
時代や流行に左右されることなく、限定メニューは「ゴールデンウィークの塩味」、大晦日の「年越しそば」のみ。
淡々とした姿勢はさながら東京という名の金魚鉢で悠然と泳ぐ「蘭鋳」と見て取れるし、これから先5年、10年…とずっと長続きして欲しいラーメン屋さんなのでした。