- 2016/12/28:更新
- 2013/05/13:初公開
麺がスープを圧して盛り上がる名物の肉そばを、大盛りで。
先日お届けした「秋葉原・青島食堂」以上に、もはや外観が飲食店なのかすら分からないラーメン専門店が東京の王子にありまして、知らなければ絶対に店の前を通り過ぎてもおかしくないのに、この味目当ての客足が途切れないのだから世の中とは実に面白いもの。
ラーメン好きには超有名、日頃ラーメンを口にされない方でもミシュランガイドとかで目や耳にしたことがあるかもしれない、2004年3月創業の人気店「中華そば屋 伊藤」をご紹介。
えっ閉店?いやいや「営業中」ですよ
どこにでもありそうな商店街の一角にぽつんと「営業中」の一言。
最寄の王子駅&王子神谷駅からともに徒歩10分以上離れた場所に位置し、ヘタしたら閉店した店舗と勘違いされてもおかしくないビジュアルなんですが、ご主人いわくお客さんの8割は遠方から訪れているとのことなので、上手いことこの地に根づいたというワケですね。
以前訪ねた際はベンチが上がっておりました。
こんな光景を見せつけられてどうして引き戸を開けようか、開けたら怒られるんじゃないかって思うかもしれませんが、「営業中」の札がかけられている限り、臆せず開けてみてください。
なお、ミシュランに掲載されて想定外の客層も訪れるようになったからか、現在は暖簾が飾られる当たり前の親切仕様となりました。
積極的に存在アピールするためというよりは仕方なくの配慮だそうで、かける暖簾、「いらっしゃいませ」のマットがガラス戸内側と、ちょっと一筋縄ではいかないところも愛らしいですね。
カウンター6席、2名&4名掛けテーブル各1卓の計12席。
空いている席に座って注文します。お冷セルフサービスの前金制。
メニューはそばのみ、シンプル以外の何物でもない。だが、それが良い
すだれ中央に自家製麺、その左右にメニューと化学調味料不使用の謳い文句。
メニューはそば(550円)と、その上に4切れのチャーシュー(煮豚)を乗せた肉そば(700円)で、大盛りとつゆ増しがそれぞれ150円。つまりは実質そばのみという潔さ。
やれ世間の流行りだ何だをリサーチした上でメニューを増やしたり減らしたりするのが飲食店経営におけるセオリーだとは思うんですが、外観同様このシンプル極まりないメニュー構成といい、ラーメン業界はもとより飲食業界の既成概念とやらをことごとく覆しているかのようでステキです。
オープンキッチンが主流のラーメン屋の反対、クローズドキッチン。
だからホールスタッフがいる時なんかは作り手のご主人と一切顔を合わせることなく、頼んで食べてお店を出るといった流れになることもあり得ますよと。
テレビで「ジャパネットたかた」が放送されてて、名物社長の甲高い主張と壁の向こうでこれでもかと入念に麺を湯切る音が見事に重なり合うジョジョも奇妙な体験をしながら待つ日もありました。
ちなみに、店内からは外の様子がハッキリと拝めます。
入店すべきか否かでモゾモゾしていると中からは不審者っぽく見られてしまうので、営業中と掲げられているのであればやはり気にせず堂々と、さも実家の門でもくぐるかのように入りましょう。
おすすめ!王子「中華そば屋 伊藤」の肉そば
具はチャーシューと刻みネギのみ、メンマなんかの類いは一切なし。
あまりに世間のラーメン像からかけ離れたその見た目に、これはチャーシュー麺ではなく肉そばなんだと妙に納得してしまいます。
普通のそばだと刻みネギのみだから、
この肉そばを注文することで、麺とスープとネギを交互に食すトライアングル殺法の追い風になりますし、チャーシューを沈めることで豚特有の肉らしさ&まろやかさがスープに溶け込み、麺とスープを食べるスピードが加速度的に高まるって寸法です。
一見アクと一蹴してしまいがちですが、
この銀粉はダシに大量の煮干しを使用している証拠で、それなのに苦味だとかエグみを過剰に感じさせないあたりに作り手のレベルの高さとやらが伺えます。
【参考】肉そば大盛りつゆ増しにした場合。
豚骨なんかの動物系ならではの濃厚さとはまた違った感じで、件の煮干しを軸に鶏ガラ、サバ節、昆布などから取ったスープは、+300円の大盛りつゆ増しだと丼縁にまで及ぶなかなかの食べ応え。
そして「伊藤」と言ったらこの低加水率の固茹で細麺!
通称パッツンパッツンの歯応え。細いのに1本1本が独立したハードボイルドな麺がね、濃い目の和風スープをグイグイ持ち上げてくれまして、店主の「スープを食べてもらう」という言葉のとおり、啜り心地に物足りなさを覚えることはまずないでしょう。
しっかり湯切りされているので麺でスープが薄まることもない=安心して大盛りも注文できますね。麺の量は並130g、大盛り195g。どちらを食べるかは胃袋と相談して決めると良いでしょう。
調味料は胡椒と一味唐辛子のみとこれまたシンプル。
胡椒を入れると味が引き締まりますが、この見た目に唐辛子って、お店側は中華そばと謳っておりますが、日本蕎麦を食っているかのような感覚に浸っちゃいますよね。
ストイックに麺とスープを楽しみたいならそば。そもそもどうしてトッピングがネギのみなのか?
答え:本来トッピングにかけるべきお金をすべて麺とスープに注ぎ込んでいるから!
予備知識なく「中華そばです」ってこんなん出されたらきっと目も点になりますよね。
引いて撮影して目が点を表現。
麺とスープによっぽど自信がないとこんなことはできません。普通ならメンマだとか海苔だとか乗せたくなっちゃうだろうし。
またその麺も実に硬派で、レンゲですくったくらいじゃガタつかず、カツラがごとく形状維持して平行移動するほどですからね。
チャーシューがないため、肉そば以上にダイレクトに高密度な麺、スープのニボニボ感を噛みしめることができます。
ごちそうさまでした!(キレイに平らげたので今回はモザイク処理なし)
そこまで頻繁に足を運べないので毎回大盛りやつゆ増し、あるいはその両方を頼んでしまいがちな王子の名店「中華そば屋 伊藤」。職場か住まいが近くないとそう訪れることのない地域かもしれませんが、少しでも気になりましたら是非行ってみてください!
店舗情報
店名 | 中華そば屋 伊藤 |
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住所 | 東京都北区豊島4-5-3(地図) |
電話番号 | 03-3913-2477 |
営業時間(平日) | 11:00~16:00、17:00~19:00頃(売切れ次第終了) |
営業時間(土日祝) | 11:00~17:00頃(売切れ次第終了) |
定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌日休)、第4日曜日 |
最寄駅 | 王子神谷駅、王子駅 |