コバラベリーにちょうどいい下北沢のピザ!
11月15日発売の週刊SPA!11月22日・29日合併号(扶桑社)に、知る人ぞ知る名作グルメ漫画「孤独のグルメ」の最新作が掲載されました。
不定期連載とはいえ、これまでのペースでは最も早い約4ヶ月ぶりの新作ではありますが、コバラベリー発言(単なるオヤジギャグ)に代表されるように、今回も主人公・井之頭五郎(以下:ゴローちゃん)節は健在です。
当ブログでは今回の舞台となった東京・下北沢の飲食店「ロクサン」の魅力を中心とした現地レポートをお届けしたいと思います。
0.目次&関連記事
1.音楽、演劇、ファッションの街「シモキタ」は連日連夜大盛況
ホントに商店街?と目を疑いたくなる人の群れ。
東京の住みたい街ランキングでも常に上位をキープする下北沢。休日ともなればご覧のようにただの商店街がまるで原宿・竹下通りばりの大盛況。
メインストリートの1つとも言うべき南口商店街ともなれば、立ち止まって景色を眺めることもままならず、小走りに近いペースでの歩行を余儀なくされます。
ところが一歩路地に入ると、覗かせる顔は閑静そのもの。
ゴローちゃんも早速2コマ目にして道に迷うなど、下北沢の路地裏は実に入り組んでます。
初めて訪れる人はもちろん、地図アプリの1つでもないと目当ての場所に行き着くのも一苦労かもしれない下北の路地裏。そんな数々の路地の中にもしみじみいいと思える店が点在しているのがまた魅力で、あえて目的を持たずにぶらぶらと散策するのも楽しいんじゃないでしょうか。
ぶらり途中ピザの旅。
そんな下北の路地を毛細血管みたいな脇道と評するゴローちゃんはというと、たまたま見つけた飲食店の看板メニューがピザであることに刺激を受けたのか、小腹がすいた=コバラベリーと違う意味で刺激的な発言をかましつつも、思い切って入店しちゃうのでした。
2.今時のワカモノの店とは全然違う、20年以上の歴史を誇る老舗
4人掛けテーブル席が中心のレトロな店内。
飲食店というよりは喫茶店、それも昭和の喫茶店とも言うべき、いい意味で落ち着いて食事が楽しめそうな雰囲気。
実は孤独のグルメを読む以前に何度か店先を通りかかったことはあるんだけど、入るのは初めてで、思ったよりも広い、そんな第一印象。
窓際でも落ち着けそう。
ゴローちゃんが頼もしいと評価したでっかいタバスコ。
3.看板メニューのピザは、プレーンピザに好きな物をトッピングするスタイル
時代を感じさせるテイストのペンギンがかわいらしいメニュー。
定番のサラミやアンチョビに加え、ミートボールやセロリといった変わり種まで全部で19種類の中から好みの具を乗せられます。
基本的には生地のサイズをMかLから選択し、各80円のトッピングをチョイスするワケですが、15:00までだとサラダとドリンクに2品のトッピングがついたお得なサービスセットも存在するので、じっくりと何を食べるか決めてから注文しましょう。
【危険】マイメジャーでLサイズの大きさを測定なう。
店員の「Lは28センチ」発言に対して間髪入れずにマイメジャーで測定するゴローちゃん。輸入雑貨の商人という肩書きがそうさせるのか、単に危ないからかは知りませんが、イケると判断してLサイズを注文することに。
ここで大半の読者が「コバラベリーじゃないんかい」と心の中でツッコミを入れたのは言うまでもありませんが、そんな彼の軽やかな身のこなしに水をさしたのが以下の1コマ。
堂々とオーダーしようとするも、まさかの横やりが。
そして隠せないのは、動揺。
しめじからは案外水分が出るらしくトマトとの相性はよろしくないとのご指摘。
ついさっきまで「よし!(おれはLを食ったる!Lを食ったるぞー)」と腹を決めたばかりなのにもうこの表情、この愛らしさ。
意外にも女性読者が多いとされる孤独のグルメにおいて、またも母性本能をくすぐる1コマの誕生か?と言いたいところですが、このままではゴローちゃんがピンチ、まさかの戦線離脱か!?
しかしそこは大人なゴローちゃん。
しめじの代わりにピーマンをあてがうことで事なきを得るものの、追加のアンチョビをトッピングする際にもいちいち店員に「アンチョビは変ですか?」と確認する始末。ほんの一瞬で随分と丸め込まれたようです。
4.そんなゴローちゃんが頼んだのは、サラミ、トマト、ピーマンにアンチョビのピザ
やはり今回も再現度が高すぎなワケですよ。
外連味のない(=はったりやごまかしのない)とコメントしたそれは、オーソドックスという言葉がピッタリのデキ。これぞピザといった見た目に食欲が刺激されること請け合いです。
注文を受けてから生地を作って伸ばす、カウンター席ならご主人の見事な職人技を堪能しながら待つ楽しみがありそう。
タバスコビシビシ、俄然やる気&食う気のゴローちゃん。
大人のうんちくを垂らしつつも、
次の瞬間には日本流だいって言い放つのだから憎めない。
耳は焦げてカリカリではあるものの、ふっくら焼き上がったパンのようなピザ。
近頃巷?を賑わわせている窯焼き薄めのイタリアンピッツァとは一線を画す、まさに日本のピザといった風合いは、ガブッと頬張るにはもってこいの完成度。作中で「古くさい味じゃない、若々しいピザ」と表現されているように、シンプルながらも高い実力を感じさせる逸品です。
それこそ電子レンジでチン、生地も出来合いの物が使われててもおかしくはないご時世ではあるものの、きちんと生地から作りしっかりと焼き上げるそれは、伊達にピザを売りにしていないだけのことはありますね。
さっきの動揺はどこへやら、そしてこの表情である。
5.繰り返される自問自答とその果て
食べながらも自分の行いを省みるゴローちゃん。
ついには口にまで出しちゃう。
ここまできちゃうと下品以外の何物でもない気がしないでもないですが、まるで何かの策士とばかりに様々なトッピングの組み合わせを熟考しちゃうのも、誰かとではなく1人客だからこそ成せるワザ、孤独のグルメとはこういったことを言うのかもしれません。
いくのか?コバラベリーのハズなのに2枚目いってしまうのか?
これはいつもと同じ、食い過ぎたと後悔するパターン…
と思いきや、
Mサイズのピザに追加でパスタを頼む、そんな何気ない光景のハズなのに、見失ってた我を取り戻すゴローちゃん。ピザとパスタをシェアして食べる、1人じゃなく2人だからできる当たり前のスタイルに、ピザは外食独り食いには寂しい、そんな孤独死寸前の感情を抱くまでに発展しちゃいます。
できればこの店、パリで別れた元カノと来てみたかっただなんて感じたりもしてるのかな、もう一番左のコマが哀愁漂いまくりのギャップありまくり、とてもじゃないけどさっきまで「日本流だい」ってほざいていた中年と同一人物には思えません。
だからおれ、ゴローちゃんへのレクイエム?代わりに2枚目いってみましたよ。
トマトと同じくらい水分が出るんじゃないかって理由で拒否られるかと思ったけど、問題なく頼めちゃったのがこちら、ナスとしめじのピザ(Mサイズ)。
最初のゴローちゃんピザはLサイズでこちらはMサイズではあるものの、どちらも8ピースに変わりはないため一回り小さいのが際立ちます。
Lでも28センチだから宅配ピザの同サイズよりも小さいのかな、食事としても大人のおやつとしてもOK、加えてさっきよりも具が少ない分、生地本来の味や歯応えもじっくり楽しめましたとさ。
なんとなく頼んだホットコーヒーとどこかはかなそうなゴローちゃん。
コーヒーが苦かったのは、きっと淹れ方だけのせいじゃない…なんてな。
6.生まれては消えてを繰り返す下北沢の良心的存在
大通りはやはり、人、人、人。
様々なジャンルの店が開店しては閉店する、そのペースがよそよりも格段に早い下北沢において、路地裏という不利な立地であるにも関わらず、20年以上も経営し続けているのだから、きっと数多くの常連さんに愛されているんでしょう。
オープンしたての頃はカップルで、時が経つにつれそのカップルが夫婦になったりならなかったり、やがて自分達の子供と歓談の場をロクサンに見出したり、そんな数々のドラマが繰り広げられてきたんじゃないか、そんなことを連想させてくれる醍醐味もまた老舗ならではなのかもしれません。
夜もやっぱり人、人、人。下北沢は、きっと眠らない。
7.店舗情報
店名 | ロクサン |
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住所 | 東京都世田谷区北沢2-17-10(地図) |
電話番号 | 03-3419-6948 |
営業時間 | 11:30~16:00、17:30~22:00(LO.21:00) |
定休日 | 水曜日、第2火曜日 |
最寄駅 | 下北沢駅 |