「ほう、これはいいラーメンだ」
先日発売の週刊SPA! 10月5日号にて約7ヶ月ぶりの掲載となった知る人ぞ知る名作グルメ漫画「孤独のグルメ」で、主人公・井之頭五郎(以下:ゴローちゃん)がね、またしてもやってくれました。
当ブログでは今回の舞台となった東京・大井町の飲食店「朋友」の魅力を中心に、約1年半ぶりの現地レポートをお届けしたいと思います。
0.目次&関連記事
1.舞台は仕事でぶらり訪れた東京は品川大井町
冒頭からこんな出だし。
働いている限り1度や2度の骨折り損のくたびれもうけは経験するでしょうが、約7ヶ月ぶりの登場にも関わらず早速ダメダメっぷりをさらしてくれたゴローちゃん(輸入雑貨屋社長の独身貴族)。
えっ、早速っすか?とツッコミを入れたくなりつつも、
読者なんてお構いなし、気を取り直してラーメンを食べることに。
↑画像だと伝わりにくいんですが、SPAではこの1コマにA4サイズ分の横幅(約20cm)を使っての余裕っぷりを演出。
なるほど、いつまでもダメだったことを引きずらず、さっと切り替えるこのスマートさに、どことなくできる大人の貫禄が漂ってますね。
まあ一筋縄じゃ行かないのがカレなんだけども。
何度か足を運んだラーメン店を再訪するも出くわすは店頭の行列。
こういったこと、よくあるよねって頭を切り替えるのは簡単なのですが、彼の場合は基本的に不定期連載の身にも関わらず、大体の確率で店が行列か閉店してるか、注文しようとしたメニューがないといった不幸に見舞われることがあまりに多いので、ホントにできる大人なんだろうかって疑問を抱かずにはいられなくなります。
それでも彼のラーメン魂は揺るがない!
いわゆる町の中華料理屋さんって趣き。
永楽の数軒先、同じ小路に店を構える、「なっちゃった」的な昭和レトロ感漂う朋友に入店、いざ念願の…
冷やし中華を決め込むのでした。(ちょっと!)
2.新発見!サイダーは●●●●●●の味?
瓶で飲む三ツ矢サイダー、超久しぶり。
冷やし中華を待ってる間、美味しそうにビールを飲む先客につられて、下戸なゴローちゃんはサイダー(200円)でノドを潤すことに。
普通ならススイと読み飛ばすシーンではあるものの、久しぶりに流し込むその味に感激したのか、全8ページ中ほぼ丸々1ページをサイダーレポートに費やし、挙句の果てにサイダーをおばあちゃんの味と例える暴挙を繰り出します。
サイダーは好きな飲み物で、おれも日頃からよく飲んでるのですが、さすがにおばあちゃんの味と感じたことは一度もなく、もしかしたら瓶で飲むいつものペットボトル版と違いがあるのか知りたくて、同じく注文してみたのですが、うん、びっくりするくらい、いつもの三ツ矢サイダーでした。
サイダー注ぐ時、店員のおばあちゃんと目が合ってちょっと気まずかった。
もちろん、この場合のおばあちゃんとは、味そのものがリアルにおばあちゃんというワケではなく、昔飲んだ懐かしい味って意味でのおばあちゃん、そんな感じの意味なのは百も承知なのですが、ゴローちゃんの場合はカツサンドを食いつつ「ソースの味って男のコだよな」といった迷言名言をこれでもかとかます、いわば言葉の前科が何犯もあるので、ゴローウォッチャーとしてはほんの少しの動向も見逃せないというワケです。
待っている間も一家言。
3.恋しい、もはや恋人発言
今年一度も食べてないからという理由でついついいっちゃった(頼んじゃった)冷やし中華を、うんうんと確かな手応えを感じつつ食べ進むゴローちゃん。
キュウリの香りに夏がカムバックしただの、秋の冷やし中華もインタレスティングと自分に言い聞かせてはみるものの、やはり体は正直なのか、隣りのテーブル席でカップルが美味しそうに食べるラーメンとタンメンに耐え切れず、本懐である熱き汁物への想いを2杯目に託すのでした。
ある意味、ちょっとした浮気。
はい?と聞き返されるもおじけない!
またやってしまったとたしなめはするも、満更でもない様子なのは今に始まったことじゃないので、高尚な皆々様におかれましては特に構わずスルーして差し上げるのが最良かと思われます。
それにしてもゴローちゃん、連載開始当初はメシを求めて商店街をうろうろすることにすら抵抗を覚えていたというのに、随分とたくましくなったものですね。
【参考】雨宿りのアーケードで過剰な不安に苛まれる主人公。
4.2杯目に食べても胃もたれしなさそうなラーメン
「ほう、これはいいラーメンだ」(※注:2杯目です)
おれもマンガにあやかり冷やし中華を頼むべきだったんでしょうが、いかんせん訪れたのが11月上旬だったため、さすがに食べられない。
ということで、ゴローちゃんが2杯目に注文した醤油ラーメン(550円)と半炒飯が楽しめるAセット(770円)に味付け玉子(50円)をプラスしてみました。
半炒飯といえど、なかなかのボリューム。
いわゆる最近の、行列のできるラーメン屋で食べられる魚介醤油だ豚骨だ鶏ガラなんかがどうのこうのって、食べる前からうるさいラーメンとは打って変わり、昔ながらの優しい味わい。
すごい行列や能書きまみれのラーメンにはそれ相応の魅力はあるものだけど、これだって立派にラーメンなんだよね。
今回孤独のグルメに掲載されなければまず足を運ばなかっただろうけど、この懐かしい感じ、きっと飲んだ後に食べるのはこういったお店の、こういった感じのラーメンがいいのかもしれません。
これまでと変わらず、今回の再現度もパネエっす、ズルズル。
チャーハンにしっかり味がついている分、あっさりとした味わいが心地よく、ラーメンにはライスやちょっとした丼よりもチャーハンだよなって妙な確信を覚えてみたり。
美味しいどころか、楽しい、大満足なゴローちゃん。
うほ!といいつつ平らげちゃう。
おれはAセットだからチャーシューが1枚だったのかもしれないけど、通常のラーメンだと2枚入りなのかも。
豚バラ肉のチャーシューもとろっとろの柔らか半熟玉子も、スープや麺もそこまで自己主張しない分、もやしのシャキシャキ、メンマのコリコリ感が心地いいアクセントとなって、平らげるのもそう苦ではない一杯です。
だから、ゴローちゃんにあやかって、
うほ!これはいいタンメンだ。
うほほ!これはいい餃子だ。
だなんて、どれもこれも美味しく平らげちゃいました、1人で。
というのもこの朋友、今作中でも食べログなんかの口コミサイトでもタンメンが名物と紹介されてたので、これは頼むしかないと頼んだワケなんです、ええ。
軽く言い訳しておきますと、同じ店で一度に麺類を2杯食べたのは今回が初めてで、なんと言いいますか、一種の井之頭中毒に犯されたとでも思っといてください。
餃子に関しては、店頭の看板やメニューでしきりに勧めてあったので、どうせならいっちゃおっかなって軽はずみによるものでしたが、さすがに、味玉ラーメン+半炒飯+タンメン+餃子にサイダーと、常人の倍以上の食事を食べ尽くしたので、食後は相当苦しかったし、「最初のサイダー…あれが効いたな」だなんてジョークも言えたもんじゃありませんでした。
ズルズルグチャグチャモグモグゴクン…
モンスターのような汚い擬音ですみません。
さっとレビューしておくと、タンメンも餃子も昔ながらのって言葉がぴったりの見た目と味付けなんだけど、その王道っぷりがかえって今では新鮮に感じましたし、塩味のあっさりとしたスープでズルズル麺をすすりつつ、ラー油たっぷりのタレをつけた餃子で緩急をつけてみたりと、相性も中々だった気がします。
もっちりとした手作りの皮と餡は渾然一体よろしくジューシーな肉汁が噛み締めるほどにあふれ出す仕様で、これでビールをひっかけたらさぞかしたまらなかったことでしょう。
次回訪れる際はね、冷やし中華はもちろん、この店のもう1つの名物とされている味噌ラーメンを堪能してみたいですね。
最後まで名言尽きないゴローちゃん。
5.総評
食後の街並みは慌ただしく思えた、なんてね。
店内で注文した料理を待つ間も、食後のゆったりとした時間も、店を出た後にぶらり散策することだって、どれもが何気ない日常の1コマであるハズなんだけれども、忙しない都会の暮らしの中ではそれすらも癒しのひと時。
大井町に足を運んだのは実に数年ぶりで、駅や周辺の再開発にめまぐるしさを覚えながらも、朋友や永楽といった様々な飲食店が軒を連ねる東小路飲食店街は、以前足を運んだ時とそう変わらない印象を受けました。
都会の荒波に揉まれ生きて行くのはたやすいことではないけれど、だからこそ今回の朋友のような、いい意味で昔ながらの飲食店の存在に助けられたりするのかな、そう再認識できたことが何よりの収穫だったし、そう感じさせてくれた孤独のグルメって作品を一層好きになったのは言うまでもありません。
駅前なのに通り全体が昭和レトロ、だが、それがいい。