己【おれ】

主に東京・グルメ・漫画・旅行ネタ。己【おれ】と命名するも乙【おつ】と勘違いされることもよくある残念なブログです。

“ともだち”の正体がカツマタ君となる7つの理由@20世紀少年&21世紀少年に対する持論・推論【其の3】

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ケンヂの口から衝撃の発言。

“ともだち”の正体は、カツマタ君…!

約8年の連載を経て、今週号で20世紀少年(21世紀少年)が完結しました。
連載終了=推理するための情報は揃ったとみなせますので、改めて“ともだち”がカツマタ君となる理由を考えてみようと思います。

1.まず、この髪型で絞られる

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だって彼、サラサラのストレートだもの。

様々なブログやらmixiのコミュなんかの書き込みを読んでると、どういうワケか“ともだち”=ドンキー、モンちゃん、グッチィの推理が多かったり。でもね、彼ら3人のいずれかも後ろ髪が違う時点で違います。

現代のように科学技術が発達した世の中であればいちいち髪型を変えたりもたやすいけど、この物語の少年時代は1970年代前半と日本はまさに高度経済成長の真っ只中。さすがにそんなことをしてたとは思えませんし、何より何でそんなことをする必要があんの?って疑問が出てきます。

2.ナショナルキッドのお面所持=サダキヨ?

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自問自答しつつ学校の屋上へと向かうカツマタ君。

髪型の相違からもドンキー他ではないとは述べましたが、カツマタ君はこんな感じで、どちらかと言うとネガティブなキャラです。

ナショナルキッドのお面を着用してたり、容姿が酷似している点から“ともだち”=サダキヨって考える人達も続出しましたが、サダキヨは小5の2学期には転校しケンヂ達の街からいなくなりました。
漫画を買いに中2で再訪しますが、彼はケンヂらと同じ中学校の生徒ではありませんし、いくら影の薄いサダキヨとはいえ、お面を外しケンヂ達の前で生活してたらさすがに「あれ、何してんの?」とかって気づかれますよね。

また、作中では随所に“ともだち”≠サダキヨを思わせる場面なりエピソードがあるので、そういう理由からも彼は“ともだち”にはなり得ません。

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サダキヨ以外にお面の子が別にいた時点で彼は“ともだち”の対象外。

3.何より、チョーさんメモには記されていた

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伝説の刑事チョーさんが残したメモを見る山崎。そこには…

1997年、定年を1週間前に控えた伝説の刑事チョーさんを殺害した山崎は、犯行後ロッカールームにてチョーさんが残したメモを見て愕然とします。

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だって全ての謎の答えが書いてあったんだもん。

2018年、取調室で孫の蝶野にそう語る山崎。曖昧な描写ではあるものの、次のページをめくろうとする彼が確認したのは、「~たちの間で?だとされて~」って意味深な文章に対し、ここで極論なんですが、おれは「少年たちの間で死んだとされて?」と解釈しました。

少年時代に死人と扱われたキャラは2人。1人は都市伝説化してるカツマタ君、そしてもう1人は中学2年に久しぶりにケンヂの街に遊びにきたサダキヨ。
ただ、サダキヨが“ともだち”じゃないことはこれまでの物語をよく読めば明白であり、そうなってくると残すはカツマタ君となります。山崎が語るサダキヨの友達=カツマタ君のことです。

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1970年(ケンヂら小5)の夏、転校することをカツマタ君に告げるサダキヨ。

自ら転校話をしたり、かと思えば反陽子ばくだんについて問いかけてみたり、お互いの関係がかなり蜜月だったことが明らかになるシーンです。

2人してお面なんてかぶったり服装までが似てたり、もしや彼らは兄弟だったり双子なのでは?自分を含めてそう考えた人もいるかと思いますが、ここで思い出して欲しいのが、もう1人のお面の子がサダキヨにとって友達であること(山崎談)。メモを既読した山崎が言うんだから恐らく2人は兄弟でも双子でもない、そう思いましょう。

4.カツマタ君の顔がのっぺらぼうな理由

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お面で顔をひた隠しなのに、取ったら取ったでのっぺらぼうだし。

カツマタ君といえば、大好きなフナの解剖実験の前日になぜか死んじゃった、ちょっとした都市伝説っぽいキャラであり、言ってしまえば描写が非常に曖昧なキャラでした。で、自分としてはそんな風に曖昧なキャラだからこそ、こうも考えられるんじゃないかと。

カツマタ君はきっと、死んでなかった。

正確に言うなら、きっとではなく絶対です。もし本当に死んでるのなら、ヴァーチャルアトラクション(以下VA)内とはいえ、ケンヂに「カツマタ君だろ」って断定されるワケがありませんし、何より赤の他人であるチョーさんに“ともだち”=カツマタ君と特定されるワケがありません。

それでは、なぜに彼の顔がのっぺらぼうなのかですが、自分的に以下の2つなんじゃないかと思うんです。

  • フクベエに成りすましの際の不具合によるのっぺらぼう
  • 単に少年時代のデータ(顔写真等)が皆無だった

4-1.フクベエに成りすましの際の不具合によるのっぺらぼう

お面の下がのっぺらぼうだった、この描写が初登場したのは、本来なら大阪万博に期間中ずっと行っていないといけなかったフクベエが、自らの存在をひた隠しにするために、サダキヨからお面を借りた際。ただでさえ暑い1970年の夏の日にアイスを買いに行く途中、前の学校の同級生に見つかりカツアゲされた後にお面を取った顔がのっぺらぼうでした。

現実世界において、人間の顔がのっぺらぼうになることはあり得ません。そうなってくると、フクベエに成りすまそうと、彼の生い立ちをVAで振り返ってた際の不具合か、当時サダキヨと思われいじめられた焦るフクベエの心理描写をのっぺらぼうで現したかでしょう。

なぜに不具合と考えたかですが、ともだち暦3年が幕開ける際、カツマタ君はVAらしき装置にかかりつけで、かと思えば突然目覚めた点からの判断です。故にそれまでの回想はカツマタ君がフクベエの視点で覗いたVAの映像と考えます。

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あんなことやこんなこと、全てはフクベエの記憶を回顧していたんでしょう。

4-2.単に少年時代のデータ(顔写真等)が皆無だった

カツマタ君に関する描写は作中においてとにかく少なくて、描かれているとしても確実に少年キッドのお面をかぶっています。
まったく同じお面をかぶってるサダキヨに関しては、宇宙との交信がどうだの、ヒーローが何たらかんたら、そんな子供じみた理由が一応あったかと思いますが、彼に関しては、そこのところが謎なのです。

バッジ騒動において、ジジババにしばかれお面を剥ぎ取られたにも関わらず、見られたらそれでおしまいって具合に不自然に顔を隠します。
素顔がどうしようもない不細工だからか、もしくは誰かに命令されているのか、彼が執拗なまでにその表情を見せない理由は分かりかねますが、恐らくサダキヨより少年時代のデータが少ないため、VAでのっぺらぼうだったんじゃないでしょうか。誰かに命令されたかについては後で述べることにします。

5.そして1970年の夏、駄菓子屋事件が勃発

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ジジババにしばかれるはフクベエに死の宣告をされるは、踏んだり蹴ったりのカツマタ君。

ケンヂが真犯人で駄菓子屋でバッジを盗んだのに、彼が名乗り出なかったことからジジババはカツマタくんを犯人扱いしてしまいます。
婆さんなのに思いっきりしばいてね、周りにはケンヂら同級生がいるわフクベエには死の宣告をされるわで踏んだり蹴ったりのカツマタ君。

ちなみに、この騒動が1970年の夏と断言できるのは、カツマタ君が事前にサダキヨに反陽子ばくだんのメモを渡していた点、フクベエがヤマネに彼が5年4組の生徒であると打ち明ける点からです。

※先日作成した時系列でも言及しています。

当時の子供達にとって、喉から手が出るほど欲しかったであろうバッジ、そんなレアアイテムを盗難して手に入れるということは間違いなく彼はいじめの標的とされたことでしょう。うざいことにフクベエなんかは早速彼に死の宣告なんてしてますからね。

そして自分はこの事件がカツマタ君の不可解な死につながるのではと考えます。
万引き犯としていじめ抜かれ「カツマタって誰よ?」みたいな感じでシカトされたり、そんな陰湿っぷりの発展系として彼を死人のように扱ったって感じです。
あるいは、いじめに耐えかねて別の学校に転校してしまったのかもしれませんね。どちらにせよ、当時の彼は死人として捉えられてたけど決して死んでなかったってことです。

あと、この騒動の際に漫画の主要キャラが居合わせてた点、何よりカツマタ君がしばかれてる背景で、サダキヨが受け取ったメモを隠そうと奔走している点、以上からも“ともだち”≠彼らと判断することが可能です。

6.カツマタ君の名字が片仮名&彼が自身こそ“20世紀少年”と名乗った理由

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こんにちは、20世紀少年です。

ケンヂは遠藤、マルオは丸尾、オッチョは落合、ヨシツネは皆本、モンちゃんは子門、そしてサダキヨは佐田、フクベエは服部、ヤマネは山根…って具合に、基本的に各キャラには名字が漢字で割り当てられてますが、カツマタ君の場合はその名字が片仮名と、まるでそれこそがあだ名みたいです。
もしかしたらこの名前からも何か類推できるのではないかと思い、アレコレ変換したりしてみたのですがこれがまるでダメで途方に暮れてました。

… … …
って言ったらハナシは終わってしまうんですが、そうではなく、偶然mixiの20世紀少年コミュニティで、思わずうなる書き込みを先日発見しました。

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すげー、なんか普通にあり得そう。

おれが小学生だったら間違いなく「捕まったからカツマタだ」っていじめちゃいそうだもん。カツマタってどこにでもいそうな名字だけど、それじゃなぜに片仮名なのか?って、積年の疑問をあっという間に払拭してくれたのがこの書き込みです。要するに彼の名字はあだ名であって、本名ではないって発想です。(もちろん本名の可能性もあり)

それで、彼がエレベーターが閉まる直前にカンナに“20世紀少年”と豪語したのは、カツマタ君は1970年で死んだ=20世紀のみ生きた少年=20世紀少年だからじゃ?憶測とはいえ“ともだち”の正体がカツマタ君と裏付ける強力なものなんじゃないかと思います。

7.【極論】マスクの下の顔がまたもやフクベエなのはカツマタ君と双子だから

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作中では整形?とあしらわれてた素顔だけど。

VAなんかが存在する世の中です。顔や声までフクベエそのまんまにすることだって可能でしょうが、あえて自分はフクベエ&カツマタ君双子説を提唱します。
なぜに双子と考えるのかですが、こんな感じです。

  1. 服部家に双子(一卵性双生児)の男子が生まれる。
  2. すくすくと育つつもりが、両親が離婚、2人は別々の家庭の子となる。
  3. 小学校が一緒だったものの、フクベエは自分と全く同じ顔の少年(カツマタ)を受け入れず、お面の着用を義務づけた。(※サダキヨではないもう1人のお面の子の誕生)
  4. 以下バッジ騒動…続く。

… … …
箇条書きをすれば随分と簡単に見えますし、それこそ信憑性のかけらも無いように思えますが、双子説を提唱した理由はこちら。

  1. 2014年、サダキヨと小泉響子がフクベエの家を訪れた際、お母さんの存在は幾度となく取り上げたものの父親に関しては皆無であったこと。(※逆にお母さんがPCモニターの存在だったことからも、フクベエが父親側に引き取られたとも考えられなくない)
  2. 手榴弾を手にしたカンナの問いかけに「ホンモノって何?」と冷静に答えたり本物の“ともだち”になることに固執していたっぽい。
  3. 校庭に円盤墜落後、死ぬ直前にケンヂにマスクを取られる際「マスクを取ったら終わっちゃう」と呟き、そしてその下の顔がフクベエだったこと。
  4. 万引きしたとはいえ、臆病で自分の考えをろくに主張できないフクベエにすぐさま死の宣告をされたり、そこには主従関係のようなものがあった?

… … …
1、2、3、4いずれも細かすぎる感じがしますが、特に強調したいのは3です。
2015年1月の理科室でヤマネに撃ち殺された時点で“ともだち”=フクベエは周知の事実であり、ケンヂやマルオ他にマスクの下がゲームの終わりと告げる必要があったんでしょうか。
“ともだち”(カツマタ君の方)はカンナに「ケンヂが自分の正体を知っている」とほのめかしたり、かと思えばケンヂはケンヂで「誰か分からない」とほざく始末。(※21世紀少年の第1話)

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この後、円盤が墜落しちゃいます。

結局、彼は自分の口からカツマタ君と名乗ることなく死んでしまうワケですが、彼とフクベエが双子で容姿だけでなく遺伝子までもが酷似していたら、彼が本物の“ともだち”にこだわる理由が何となく見えてきそうな気がしませんか。
この発想は考え過ぎもいいところなのは百も承知なんですが、それでも彼が単に整形によるフクベエ化って考えるよりもカツマタ君=フクベエ=“ともだち”って考える方が面白いかと思います。

何よりフクベエは1970年の首つり坂事件でケンヂ達と同行しましたが、誰1人彼が大阪万博に行ってないことを疑問に思わない=影の薄いキャラと考えられますし、そんな彼と双子であるなら理由①の廊下でケンヂらに違和感を抱かれることもないでしょう。もちろん、そんな双子説だとかを払拭するように彼がどの登場人物とも兄弟だったりでない、純粋にカツマタ君って新キャラクターの可能性も捨てきれません。

作中においてろくに取り上げられることなくその生涯を終えたカツマタ君、ましてや最終回の最後の最後でケンヂの口から“ともだち”=カツマタ君と告げたものだから、読者の皆さんは頭が???だったかと思いますし、とてつもない批判が起きました。
同作品を推理漫画ではないと浦沢直樹氏はなんかのテレビ番組で語ったそうですし単なる推理物として捉えるつもりはありませんが、自分と同じくこの作品の一要素として“ともだち”の正体を追い求めた方にとってこの記事が少しでも参考になってくれたら嬉しい限りです。