己【おれ】

主に東京・グルメ・漫画・旅行ネタ。己【おれ】と命名するも乙【おつ】と勘違いされることもよくある残念なブログです。

公式副読本「20世紀少年探偵団」の年表がデタラメで酷すぎる件

先日発売された公式副読本「20世紀少年探偵団」なんですが、皆さんもう買いましたか?

過去に「“ともだち”が彼となる理由」や「作中で言及されなかった謎や伏線についての考察」、おまけに「[同作品の出来事年表」etcといった少々お硬い記事を発表してきましたが、単純に20世紀少年って漫画は推理、考察お構いなしに好きなんですよね。
だから小学館の公式サイトに↓こう記されているように、

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これを読まずして“20世紀”は語れない! ライター竹熊健太郎が、ケンヂと仲間達が生きた時代の裏側を再発掘! これを読めば『20世紀少年』が、もっと深く、もっと面白く見えてくる!!

小学館

自分の知らない1970年代を詳しく知ることで一層同作品のことが好きになるかも!?
そんな期待が動機になりまして、まあ買ったんですよ、買ったのさ。

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で、買ったは良いんですけど、その付録の年表があまりにね、これはひどいので、是非とも改善していただきたく、今回ちょっとばかし苦言を呈してみることにしました。

… … …
ということで、20世紀少年を知らない人にはなんのこっちゃな記事のはじまりはじまりー。

あまりに酷い年表の実態①【学年が1年ずれている】

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おれのように原作をしらみつぶしに読み返してる人じゃなくても、大体西暦何年に何が起きたとか、物語の基本的な出来事は把握してると思います。

そこで見ていただきたいのが画像の赤枠内なんですが、1969年の小学3年にはじまり1970年の小学4年、1971年の小学5年…と、ケンヂの学年が1年ずつずれているんですよね。

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1学年ずれていること、一見大したことのないように思えますが、20世紀少年って漫画の世界ではこれ、すごく重大なことなんです。
例えば12巻でヴァーチャルアトラクションを体験した小泉響子を問い詰めるシーンで、ユキジ&ヨシツネのコンビは“ともだち”の偽装した1970年の嘘に気づきます。
そしてしきりに強調する1970年は小学5年(1971年は小6)ってキーワードをキッカケに、2人はついに“ともだち”の正体が誰かを突き止めるまでに至るのだから重要であると。

また、1970年の大阪万博の年にケンヂらが小4、理科室の奇跡が小5の時点で、正直ストーリーを純粋に楽しむ上でかなりの不具合になるワケですが、詳しくは過去にアレコレブログってきたのでそちらに目を通していただけると幸いです。

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あと、個人的に何年か気になっていた駄菓子屋ジジババでのバッヂ騒動、こいつがしれっと69年の欄に記載されてて何かアレだね。
原作のどこにもそう書かれてないんだけど、これ、素直に信じて良いのかな?

ひどいというか、これはすごい?あまりに酷い年表の実態②【とてつもなく悲惨なカンナ】

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ん?小学生ですらない子供が一人暮らし!?

1997年の時点で、大人の手を借りなきゃろくに生きられなかった赤ん坊がですよ、4年経つか経たないかの間に一人暮らしですからね、いやはや、ホントならとてつもなく不幸な設定だね(はーと)

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【参考】血のおおみそか(2000年)時にはまだ子供。

なんでも映画「20世紀少年」の企画を「家なき子」等のドラマをヒットさせた、日本テレビプロデューサーの佐藤敦氏が担当されてるそうですが、もしや主演の安達祐実が味わった苦しみを実写で再現しようとしてません?

…だなんて、ついつい妄想させてしまうこと請け合いの大間違いっぷりと言えますかね。

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【参考】常盤荘で暮らし始めるのは2014年が正解。

あまりに酷い年表の実態③【どうしようもない誤字】

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(誤)ともだち→(正)ともだち
これはもうそのまんまです、はい。

極めつけ【この年表の対象者は映画観客、ではなく漫画読者】

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帯には公式副読本と書かれてますけども。

そもそも漫画なのか映画なのかはたまた両方、作品自体の公式副読本なのか、正確にどれのって断定されてないので、もしかしたら困惑する方、いるかも知れませんね。
まあ自分的には3つ目、作品自体の公式副読本であるに一票投じたい派なんですが、この付録の年表に関してのみ、漫画読者を対象とした内容であると断言します。

以下に3つ、ちょっとした理由を挙げると、

  1. 1969年の項目でドンキーがジャリ穴の巨大ライ魚騒動をキッカケに仲良くなったと記されてるが、映画(第一章)ではその部分はカットされ、普通の追いかけっこを通じて仲良くなったと描写されている。また、映画ではオッチョと角田が海ほたる刑務所から脱走するのが2014年→2015年に変更されている点も原作とは異なる。
  2. 物語の導入部である第一章しか観てない人にはまるで理解できない仕様、というか普通にネタバレだろこれ。2015年に“ともだち”が死ぬとか生き返るとか、おまけに西暦じゃなくともだち暦なんて、確実に漫画を通読してないと理解不能な内容と言える。
  3. もちろん現時点で全3章の3分の1しか公開されてないだけに、第2章以降のストーリーがこの時代史に沿って展開される可能性もないとは言い切れないが、それならそれでこの年表(ネタバレ)を今公開していることにかなりの疑問を覚える。

…といった感じなんですが、いかがでしょうか。

個人的に竹熊健太郎さんの書く文章は好き&この本もすごく良いデキだと思ってますし、そうなだけに、この年表って一体何よ、いらなくね?って結論になります。

発売して1週間で増刷が決定しただけに、更に多くの方の目に触れること間違いなしですから、少なくとも浦沢直樹・監修って堂々と謳う限り、少しでも早い訂正を期待したいものですね。